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2020.11.01

『鬼切丸伝』の年表

 平安時代から江戸時代まで、長きに渡る時を舞台に、鬼切丸の少年と鬼の戦いを描いている『鬼切丸伝』。各エピソードが時系列に並んでいるわけではない本作ですが、そうなってくると一度並べてみたい――というわけで、年表を作ってみました(物語の内容に触れているのでご注意下さい)。

764年
 藤原仲麻呂の乱。藤原東子、千人の男に嬲られて鬼と化す
969年
 鬼女・紅葉、平維茂らに退治される
995年
 鬼切丸の少年、大江山の酒呑童子に食われた尼僧から生まれる
996年
 少年、安達ヶ原の鬼を斬る
1149年
 佐藤義清、周囲を鬼に変えぬため出家する
1177年
 鹿ヶ谷の陰謀。少年、後白河法皇の前に現れた「崇徳上皇」を斬る
1189年
 衣川の戦い。鬼の武蔵坊弁慶、義経を守って立ち往生する
1476年
 少年、日野富子に使役される茨木童子を斬る
1565年
 永禄の変。義輝、絶望から鬼と化す
1571年
 比叡山焼き討ち。信長、鬼に襲われる
1575年
 宇喜家の四姉妹、父・直家への怨念から鬼と化す
1581年
 第二次天正伊賀の乱。鬼切丸の少年、くノ一・蓮華と暮らし始める
1582年
 天目山の戦い。土屋昌恒、鬼と化して千人を斬る
 松姫の生き霊、鬼と化す
 本能寺の変。森蘭丸、信長の眼前で鬼と化す。
 山﨑の戦い。鬼と化した信長、光秀とその一族を襲う
 柴田勝豊、丸岡城の人柱としたお静が化した鬼に襲われる
1584年
 さらさら越え。佐々成政、愛妾・早百合を吊し斬りして以来、周囲に鬼が出没
1587年
 根白坂の戦い。島津家久、鬼と化した家臣とともに命尽きる
 肥後国人一揆。和仁親宗、真の鬼と化す
1588年
 長宗我部元親が誅戮した七人の武士の怨念が鬼と化す
1591年
 千利休自刃。娘のお吟、石田三成に蛇責めにされた末、鬼と化す
1595年
 豊臣秀次、高野山で自刃。鬼と化した秀次、少年に斬られる
 秀次の妻子の処刑以来、三条河原に泣き鬼が出没
1600年
 信長鬼の肉を与えられた戦国武将四人が相争う
 ガラシャ、鬼と化して信長鬼を食らう
 関ヶ原の戦。大谷吉継、無念のあまり鬼と化す
 「立花誾千代」、単身加藤清正の軍を阻む
1601年
 種崎事件。犬神使いのなつ、夫を山内一豊のだまし討ちで喪う
1607年
 加藤清正、愛する小姓を殺した河童を退治する
1620年
 和霊騒動。山家清兵衛一族の誅戮後、宇和島に牛鬼出没
1635年
 妊婦を次々と惨殺する蒲生忠知の前に少年が現れる
1637年
 島原の乱。少年、天草四郎に成り代わった鬼を斬る
1668年
 濃尾崩れ。尾張に切支丹の鬼出没


 詰め込みまくったために非常に見にくくて恐縮ですが、単行本11巻までの内容をまとめてみました。いやはや、これだけあちこちの時と場所で少年が姿を現していたのか、と感心させられます。
 これだけあちこちで鬼を産みだしていれば、少年も人間嫌いになるのも確かに判る気がいたします(特に1581年から1582年にかけて、大事件の連続に戦い続けた少年の鬼メンタルよ)。

 しかし改めて驚かされるのは、歴史上の大きな事件だけでなく、他の漫画、いやフィクションでは滅多に題材にならないような事件・巷説をしばしば扱っていることであります。この点は、本作の大きな特長と言って良いのではないか――と、この年表を作ってみて、今更ながらに感じた次第です。


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