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2020.12.24

『半妖の夜叉姫』 第12話「朔の夜、黒髪のとわ」

 四凶・混沌の命により、夜叉姫たちを狙う二枯仙。二枯仙退治を引き受けたとわとせつな、そしてもろはだが、二枯仙の放つ仙気の毒に苦戦を強いられてしまう。しかも半妖が妖気を失う「朔」に当たってしまったとわは肉体も人間並みとなり、髪も黒くなってしまった。とわを守って戦うもろはだが……

 この一ヶ月ほど続く「よく考えたら『犬夜叉』にも登場していたけどマイナー過ぎてすっかり忘れていた妖怪」シリーズ(自分の記憶力のなさを棚に上げる)、今回は真っ赤に血走った巨大な目がいかにも高橋留美子の妖怪っぽくてコワい二枯仙であります。
 元は仙人だったものが、邪心を抱いたことから妖怪になってしまったというちょっとドラマチックな設定を持つ二枯仙ですが、今回は渾沌の配下として登場。前回負けたことを根に持つ渾沌に命じられ、夜叉姫たちを狙います。

 その彼女たちは、せつなととわは妖怪退治屋の任務として、もろはは村人から話を聞いて賞金を稼ぐ気まんまんで、という流れでいつものことながら現地で遭遇、二枯仙が潜む険しい禿山を登っていくのですが――ここでとわのみ、妖気が感じられなくなっていたり、体力が落ちていたりと小さな異常が発生し、これが後で大きな問題に繋がることになります。
 そして現れた二枯仙との対決でも、妖気の刃を出せなくなったとわは毒気をもろに吸ってしまいダウン。斬られて飛び去った二枯仙の首をせつなが追う間、もろはがとわを連れて下山することになりますが、しかし二枯仙の本体は胴体の方。胴体があれば、首がいくらでも生えてくるということを知って、もろははいくらでも賞金首が稼げると、尸良みたいな猟奇的喜びを見せるのですが――今度はとわの髪の色がどんどん黒くなっていくではありませんか。

 しかも何故か髪もちょっと長くなって、母親(たぶん)似の容貌になった――のはいいとして、完全に力を失ってしまったとわ。これこそはもろはの父・犬夜叉もかつて苦しめられた「朔」――周期的に訪れる、半妖がその力を失ってしまう時期だったのであります。しかしそれだったらもろはは、といえば彼女は四分の一妖のためにそういう現象はないらしく、そしてせつなは夢の胡蝶に夢を奪われた影響か、やはり無縁のようですが――何はともあれ、大ピンチなのは言うまでもありません。
 ここで横穴を見つけて結界の符(符を文字通りゴロゴロしながら書いてしまう冥加有能)で姿を隠すもろはととわですが、しかし琥珀ら妖怪退治連と合流して戻ってきたせつなにも居場所がわからなくなってしまう罠。しかも毒気を散らすために山を焼き払ってしまうんだ! と理に適っているような無茶なようなことを言い出した琥珀たちが、カタパルトで火炎弾をガンガン打ち込み始めたものだから符が焼けてしまって、二枯仙に二人の居場所がばれてしまう始末であります。

 二枯仙の毒気を浴びて、石化マニアが歓喜しそうな凝固状態になってしまった二人ですが、そこにせつなが合流。そして「朔」の期間が明けたとわも復活し、ワンパンKOを決めるのでした。


 というわけで、半妖、というよりとわの弱点が描かれた今回。犬夜叉も同じ目に遭っているとはいえ、本作においては朔が何かのメタファーのような気もしますが――何はともあれ、今後タイミング良く(悪く)、思い出したようにとわたちの足を引っ張ることになるのでしょう。

 しかし二枯仙、原作では犬夜叉に倒されているのにしれっと登場しているのは、アニメ版では出番を飛ばされたから――という理屈かと思いましたが、前々回の金禍銀禍はアニメ版にも登場しているわけでややこしい。明らかにパーソナリティ的に別の金禍銀禍は同名同種族の別人、ほかの妖怪たちは、時間が経ったので復活した――と考えておくべきでしょうか。トウコツのように儀式であっさり再生しかけた奴もいるので……(しかしややこしい)


 と、気が付けばもう1クール終了目前ですが、次回はついに弥勒が登場。どこに行っていたのかと思いきや修行に入っていたようで(風穴なくなると戦力的に苦しいからなあ)、さて夜叉姫たちとどう絡むのか――これは楽しみであります。


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