『半妖の夜叉姫』 第9話「冥王獣の冥福」
さる武将の砦を落としたという妖怪退治の依頼を受けて砦に向かった夜叉姫たち。そこで待ち受けていたのは、四凶の一人・渾沌だった。かつて最強の硬度の甲羅を持つ冥王獣を殺し、その甲羅を鎧とする渾沌に苦戦する三人。一時撤退した三人の前に、渾沌を仇と狙う冥王獣の子・冥福が現れるが……
ここ数回に続き、四凶たちの一人との戦いが描かれる今回。今回登場するのは渾沌――混沌という言葉の由来とも言われるだけにメジャーな怪物ですが、本作で描かれるのは(少なくとも今回の段階では)神話伝説に登場する得体の知れない怪物とは異なる、烏帽子に総髪、ドジョウ髭という、二本の角を除けば学者か占い師のような姿であります。
この渾沌、単に生えている樹が気に入ったという理由だけで武将の砦を一瞬で文字通り潰し、そこに住みついてしまったというはた迷惑な妖怪。そのおかげで(正体は知られていないままで)賞金首となり、屍屋経由で夜叉姫たちに狙われることになるのですから、抜けているという気もしますが――しかしこれまで何度も差し向けられた兵を壊滅させているだけはある実力の持ち主です。
式神である風の獅子と雷の獅子の力もさることながら、その身を守るのは、妖怪の中でも最も硬いと言われる冥王獣の甲羅――ん、どこかで聞いたことがあるようなと思えば、『犬夜叉』で魍魎丸や奈落の防具に使われて犬夜叉たちを苦しめたあの甲羅の持ち主ではありませんか。
正直なところ、本体より防具としての印象の方が強い冥王獣ですが、しかしそれだけの相手を倒して甲羅の一部を奪い、鎧に加工して使っているのですから、渾沌の力もかなりのものと言うべきでしょう。しかもこの鎧、妖力による防御ではなく単純に物理的に硬いため、妖気相手に特攻を持つとわの能力も通用しないという、厄介な相手であります。
おかげで最初の対決では攻撃が通じず、追い詰められた三人は、冥王獣の息子・冥福に助けられてようやくその場を逃れる始末。しかもその冥福も、いかにも長生きしそうな一族の中ではほんの子供――というわけで、あまり当てにならない状態なのですが……
というわけで、三人娘+冥福vs渾沌のバトルが描かれたほかは、あまり本筋に絡むような展開はなかった今回。相手から妖力を吸い取るのではなく、逆に与えることで鎧にされた冥王獣の魂を復活させるというとわの策は面白かったのですが、やはり地味な印象のエピソードでした。
むしろ今回印象に残ったのは、冒頭部分――屍屋からの依頼を受けたものの、とわとせつなは「グループの方向性の違い」(妖怪退治屋と賞金稼ぎの違い――と言われてもわかりにくいのですが)で参加せず、半ベソをかいているもろはの姿。
半妖の子としてただ一人この戦国の世に放り出されて、様々な苦労をしてきたもろはにとって、二人は初めてできた仲間だったのに――というわけで、三人の中で一番世慣れていて、そして豪快に見える彼女の隠された一面が描かれ、ますます好印象であります。
(結局、夢の胡蝶探しのために金が必要になったとわとせつなが後から合流するわけですが、その時無理にツンぶろうとするのがまたかわいい)
何はともあれ、また細かい所で絆を深めた三人ですが、結局渾沌自身は逃れてしまい、決着は先送りということに。おそらくはその時に、渾沌の真の姿が登場するのではないか――と思います。
(と、そういえば渾沌の虹色真珠は?)
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