わらいなく『ZINGNIZE』第5巻 再戦開始 二甚内vs風魔小太郎!
風魔が復活させた死人の群れが江戸城に向けて動き出した中、愛する菊を救い出すため、再び風魔小太郎に挑む高坂甚内。そこに鳶沢甚内も加わり(あれ、庄司甚内は……?)戦いはヒートアップの一途を辿ります。不死身の肉体を持つ小太郎を倒すのは誰か――決戦の始まりであります。
関東の古戦場で夜毎蠢く謎の軍勢――その正体は、謎の老武将に率いられて江戸城に進軍する、無数の死人たちでありました。探索に当たっていた菊が捕らえられたことを知った高坂甚内は、庄司甚内とともに、大久保長安の制止も振り切って彼女の救出に向かうことになります。
そして死人の群れを蹴散らしながら突っ走る高坂甚内の前に現れた老武将は、太田道灌の名を名乗り……
という場面から始まるこの巻。こう言っては何ですが、あまり大物武将が戦死するような合戦が起きていない関東で、死から甦らせるほどの武将がいたかしらん? と思ってみれば――合戦での死というのとは違いますが、なるほどこの人物がいたか! と完全に不意を突かれました。
しかし風魔といえば北条氏の配下、そして後にその北条氏こそが彼の主家を滅ぼしたことを思えば、いかに自分を殺したのがその主家といえども、道灌の心中は穏やかではないのでは――と思いきや、こう来たか! ともう一度不意を突かれたのには驚かされました。
しかし菊の身のほうは、まさに危機一髪の状況。それまでにこやかにギャグをやっていたかと思えば、突然その暴力性をむき出しにする小太郎によって、彼女があまりに無残な目に遭わされようとしたまさにその時――頼もしい援軍と共に絶妙のタイミングで駆けつけたのは、言うまでもなく高坂甚内であります。
今までほとんど相手にされてこなかった菊ともちょっといい感じになったりして、気合い入りまくりの高坂甚内と、「オレとイチャイチャしろおおおおお!!!!」と、相変わらず面白い感じで彼に絡む風魔小太郎と――宿敵同士、実に第1、2巻以来久々の激突がここに始まることになります。
しかしこの戦い、普通に考えれば高坂甚内の不利は否めません。何しろ小太郎は文字通り殺しても死なない不死身の体――初対決の際にはその肉体の前に、高坂甚内はボロっボロにされているのですから。
その一方で、高坂甚内が得意とする毒は、数少ない小太郎にダメージを与える、いやダメージを残すことができる武器でもあります。どちらも一撃入れば死命を制する状態で、二人の超人忍者は凄まじい攻防を繰り広げるのですが……
しかしこの戦い、とんでもない乱入者――鳶沢甚内が見参したことによって、まだまだ二転三転いたします。元々高坂甚内に勝るとも劣らないパワーを持つ上に、必殺の忍法雷震を持つ鳶沢甚内ですが――しかし彼の真の強さは、また異なるところにあったことが、この巻ではこれでもか、と描かれることになります。
その活躍ぶりたるや、まさに本作ならではのダイナミックすぎる破壊力、素晴らしいやり過ぎっぷりなのですが――しかし彼はつい先だって高坂甚内の、いやそもそも大久保長安からの誘いも断っていたはず。その彼が何故、今になって参戦してきたのか――どうにもきな臭いものが漂います。
しかしそれでも頼もしい助っ人であることに間違いはなく、二甚内と小太郎の戦いは、まさに最高潮。そしてそこに(先に行ったはずが豪快に遅れてきた)庄司甚内も加われば、無敵の三甚内となるはずですが――しかしさらに現れたのは、全く予想もしていなかったあの男。
はたして彼こそが鳶沢甚内が恐れる男なのか? そして風魔小太郎との死闘にここでついに決着が付くのか? まだまだ謎は多く、ここで小太郎を倒して終幕とは正直思えないところであります。
何が飛び出してくるかわからない超人バトルは、ここからが本番の様子――この先も、しっかりと食らいついていきたいと思います。
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