« 「コミック乱ツインズ」2021年4月号(その一) | トップページ | 藤田かくじ『徳川の猿』第3巻 裸体の狂戦士、その過去! »

2021.03.16

「コミック乱ツインズ」2021年4月号(その二)

 「コミック乱ツインズ」2021年4月号の紹介の続きであります。今回はシリーズ連載の新作も二つご紹介。

『かきすて!』(艶々)
 ナツ、ゆき、はるの娘三人の江戸への旅を、当時の(性)風俗を交えてシリーズ連載で描いてきた艶笑譚も、ついに江戸に到着。しかしこれまで各地の風俗を描いてきた本作ですが、江戸で何を描くのだろう……と思えば、日本橋の晒し場での不貞者の晒しが描かれることになります。

 しかも今回描かれた晒し者の男の方は、三人娘の一人、おゆきのかつての恋人。かつて深い仲となったものの、しかしいつしか男の方から離れていった末に、男は夫のある女と関係して、このような有様となったわけですが――今回のクライマックスは、この晒し者を目の当たりにした時の、おゆきの表情でしょう。
 哀しみとも諦めとも憐憫とも、そして安堵とも取れる複雑な表情をわずか数コマで描いてみせたのは、この作者ならではと感じます。

 艶っぽいシーンはあれど、むしろシリアスな人情ものとして印象に残るエピソードであります。そしておゆきとおはるの二人が旅に出た理由も、ここで判明し、いよいよ旅の終わりも近い印象ですが……


『風雲ピヨもっこす』(森本サンゴ)
 擬獣化(?)した幕末の世界を、勤王オタクのヒヨコ剣士を主人公に描くシリーズ連載の第2回。今回はピヨもっこすが勤王志士のサイン会に出かけていって――というシチュエーションだけでまずおかしい。

 ナンセンスといえばナンセンス極まりないのですが、勤王女子が集まるこのサイン会、なんか実際にありそう――と思ってしまうのは、本作のゆるいムードに当てられてしまったからでしょうか。
 結局このサイン会、実は――ということになって一波乱、柳生ピヨピヨ流が炸裂するのですが――まあ今回もゆるい結末で楽しいのです。(にしても本作の坂本龍馬、猫なのが妙に似合います)


『カムヤライド』(久正人)
 第5巻も発売された本作、前回までのモンコ中心のエピソードから一転して、今回は彼を取り巻く人々(?)の動きが描かれることになります。

 ヤマトを襲撃して「戦闘をちょっぴり激しく」した張本人の2人の怪人のうち、イシコリドメは熊(でいいのかな、あれは――やけに東宝っぽい造形でしたが)を相手に腕を磨き、コヤネは一目惚れしたモンコを探し――と、それぞれこの先も騒動の種となりそうな様子であります。
 一方、そのヤマトでは、重傷を負って倒れていたオトタチバナがようやく目覚め、その後の黒盾隊の、ヤマトの状況が描かれます。これまで誤解から、そして王命からモンコと激突することになったオトタチバナですが――しかしヒーローはヒーローを知るというべきか、どうやら誤解の方は解けた様子なのがホッとさせられます。

 そして宮殿では、モンコとのこれまでの冒険を語ったヤマトタケルが、父たる大君と対峙することになります。一見正論を語る大王に対し、一歩も引かずに自分の経験から疑問をぶつけるその姿からは、ヤマトタケルの大きな成長ぶりが窺えますが――それに対して全てを語らず、ただ「伊勢に行け」とのみ告げる大君。
 秘中の道行きに、兄の(相変わらず過剰に艶っぽい)オオウスと二人で旅立つヤマトタケル――という場面で次回に続きますが、神話でのオオウスの運命を考えれば、この旅がタダで済むとは思えず……


 次号からは、森秀樹が中世西アジアを舞台に描く『ビジャの女王』がスタート。「異端新連載」と自分で描いているところに、本誌らしさが感じられます。そして久々に『暁の犬』が掲載されるのも嬉しいところであります。


「コミック乱ツインズ」2021年4月号(リイド社) Amazon

関連記事
「コミック乱ツインズ」2021年1月号
「コミック乱ツインズ」2021年2月号(その一)
「コミック乱ツインズ」2021年2月号(その二)
「コミック乱ツインズ」2021年3月号

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

|

« 「コミック乱ツインズ」2021年4月号(その一) | トップページ | 藤田かくじ『徳川の猿』第3巻 裸体の狂戦士、その過去! »