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2021.05.14

『セスタス The Roman Fighter』 第4話「明日への生還」/第5話「希望の在り処」

 ついに始まったエムデンとの一戦。速攻を仕掛けて圧倒したかに見えたセスタスだが、変則的なエムデンの攻撃に苦戦を強いられる。さらにエムデンの殺し技「断頭」を受け、記憶が飛んでしまうセスタス。しかしセスタスの一撃でエムデンもダメージを負い、まだ戦いは互角に展開すると思われたが……

 エムデン戦の終盤までが描かれた第4話と第5話は、原作にかなり忠実、そして試合シーンが中心のため、2話まとめて紹介します。

 思わぬことでサビーナの怒りを買い、いきなりエムデンと試合を組まれてしまったセスタス。特訓もまだ終わらぬまま試合に臨んだセスタスはエムデンの誇る鉄壁の防御に手を焼きつつも、持ち前のスピードと打撃の正確さを武器に速攻を仕掛け、エムデンに一撃を加えてみせるのですが――それがエムデンの魂に火をつけることになります。
 腰を落とした独特の姿勢から繰り出される裏拳・掌底・鉄槌という変則的なコンビネーションにダウンを取られるセスタス。ところがエムデンはそんなセスタスの回復を待つかのように攻め手を収めるのですが――これこそがエムデンの罠だったのであります。

 決着を焦ったセスタスが、がら空きに見えた腹を狙って下に潜ったとき、上から延髄目がけて落とされた強烈な鉄槌――名付けて「断頭」。このエムデンのフィニッシュブローを喰らったセスタスは辛うじて立ち上がったものの記憶が飛び、圧倒的な不利に……
 と、ここまでが第4話、そしてこのアニメ版第1話の冒頭に繋がる展開であります。

 続く第5話では、もはや打つ手無しと思われたセスタスが、持ち前の柔軟性と強靭な心肺機能で辛うじて復帰、しかもエムデンも「断頭」直前のセスタスの脇腹への一撃でアバラをやっていた――と、実は互角に近い状況であったことが判明します(しかしここでゾラが「あいつはすぐ立ち上がってくる」と言っても、アニメでは実質2試合目なので実感に乏しいのが残念)。
 諦めることなく奮闘するセスタスに、鼻曲がりのナシカも感動、自分とエムデン、そしてサビーナの過去を思い出すことになります。この辺り、エムデンとナシカの因縁と友情の始まり、サビーナの女王様気質の目覚めと、このポンペイ編の重要キャラクター三人を描くエピソードとして不可欠なのですが――いきなりナシカさん長いモノローグを始めたなあ、という印象になってしまうのは、これは回によって視点や語り口が変わってもそこまで違和感のない連載漫画と、漫画の連載数回分をまとめて描くアニメ版のある意味相性の悪さというものでしょうか。

 なにはともあれ、事務畑で暮らしてきた自分にはない「勇気」と「忍耐」を見せるセスタスに発憤したナシカ――まるでエムデンにはこの二つがないみたいだ、という感じですが、確かにエムデンは後者がないなあ(サビーナに対しては異常にありますが)――の声援に触発され、観客たちも次々にセスタスの応援を始めるというのはかなり盛り上がるシーンであります。が、哀しいかなCG主体のメインキャラに比べ、モブの絵柄が貧弱すぎて、観客席が映る度にテンションが下がるのはさすがにいかがなものか……

 さて、セスタスの連打とエムデンの変則打撃の応酬は続き、ついにセスタスがエムデンの打撃を見切ったかに思われたのですが――エムデンの一撃が額を切ったことによって、流れる血でセスタスの左目が塞がれてしまい、セスタスは一気に窮地に陥ります。そこで「お前は女神を敵に回したのだからな」と気の利いたことを言うエムデンに対し、肚を決めたセスタスは遂に「殺し技」を放つことを決意して――というところで場面で次回に続きます。


 原作の第12巻で描かれたセスタスvsエムデン戦を、かなり忠実に描いたこの2話。しかし、セスタスの連打やエムデンの変則的な打撃といった、漫画ではどうしても細かい動きがわかりにくい部分を、アニメとしてしっかり補って見せてくれたのはありがたいところであります。
 特にエムデンの独特の構えから繰り出される打撃は、セスタスのように我々が知る近代ボクシングのそれとは全く異なる――言い替えれば見覚えのない動きだけに、なるほどこう動くのね、と感心いたしました。

 そして試合の方も一進一退の攻防をじっくりと見せた末、ここまで引っ張ってきたセスタスの殺し技がいよいよ炸裂か!? というところで引くのも、原作通りとはいえ、非常に盛り上がる展開であります。次回描かれる、「その場面」に期待したいと思います。


 しかしエムデンの「肉を斬らせて骨を断つ 捨て身の手も打てる」という台詞、今になってみると重みがありすぎる……


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