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2021.05.27

『セスタス The Roman Fighter』 第7話「檻のなかの叫び」

 ザファルに課せられた鍛錬で、ひたすら道路工事でツルハシを振るうセスタス。いつ終わるかわからない鍛錬が続く中、皇帝からの使者がセスタスの前に現れ、勅命により皇帝主催の闘技大会に参加するよう告げるのだった。否応なしに予選に参加したセスタスは、檻のような木造闘技場で初戦に挑むが……

 前回ポンペイで一躍ヒーローになっと思えば、今回の冒頭で一転して仲間たちと共に道路工事に励む羽目になっていたセスタス。妙に説得力あるナレーションによって、ローマの道路技術の高さと、ツルハシを振るう動きが拳闘士に必須であることが語られるのですが、セスタスたちには聞こえないので、単に手に血豆を作るばかりで本当に役に立っているのか、彼らにとっては疑問符だらけであります。
(ちなみに原作では直前まで、ルスカが恋に格闘に、歴史を揺るがしかねない活躍を色々していたので、読者もいきなり道路工事をしているセスタスのちょっと落差にビックリしたものでした)

 そんな中、ドリスコ拳闘団のもとに現れたのは、ネロ主催の闘技大会の開催を告げる使者――世界中の強者が(拳闘に限らず)集結する大会の、拳闘部門(の地域予選)出場の勅命を、セスタスに告げに来たのであります。
 やった、格闘漫画の王道のトーナメント編だ! と視聴者は嬉しいのですが、しかしようやく逃げてきたのに、ネロがなんか悪い表情で自分に手を伸ばしているようで、セスタスにとっては何とも厭な気分に――とはいえ、拳奴であるセスタスにとっては、結局戦う以外の選択肢はありません。自由と賞金も手に入る、かもしれないし……
(しかし、やっぱりその逃げたくだりが描かれないので、セスタスの葛藤が今ひとつ伝わりにくいのが惜しい。アニメだけ観ていると、裸首輪で折檻されたのが嫌だったのかな、という感じになってしまうのが……)

 かくて予選会場を訪れたセスタスですが、これがびっくりするほどの木造の老朽家屋のような闘技場。しかも下手をすると普段の1/4くらいに感じられるくらい狭い。観客は身内だけ、ファイトマネーもなし(むしろ参加料を取られる)という、否が応でも殺気立つような状況に放り込まれたセスタスですが――そんな状況でもとにかく戦わないわけにはいきません。
 というわけで遊びなしで初戦の相手を秒殺KOしたセスタス。しかし快勝を讃える仲間たちの声にも、全然だよ 全然ッ殴り足りないよ!? と壁をゴンゴン殴り始める始末であります。昔は一戦するだけで死にそうな顔をしていたセスタスきゅんが、ガラの悪い連中(ラドックとかゾラとか)と付き合っているうちにすっかり荒んで……

 と、いう冗談はさておき、目に見えない檻の中で苦しむセスタスの苛立ちこそが、今回のサブタイトル「檻のなかの叫び」なのでしょう。一方、ザファルは現実の檻、すなわちこの木造闘技場の狭さを活用した戦法を用いる相手の出現を懸念するのですが――その懸念は当たるのか、闘技場の近所でサイコロ賭博に興じる男たちの中に、見るからに只者ではない出場者・フェリックスの姿が……


 今回から原作第二シリーズ『拳奴死闘伝セスタス』分に突入したこのアニメ版。正確には今回冒頭のツルハシ特訓とネロからのトーナメント参加の勅命のくだりは、第一シリーズ『拳闘暗黒伝』ラストでしたが、いずれにせよ、アニメ版も折り返し地点に入り、物語にも大きな節目を迎えたというべきでしょうか。
(本当にしつこく言い続けて恐縮ですが、ルスカとネロサイドの物語をバッサリカットした上での節目というのは複雑なものがありますが……)。

 そしてOPに登場している中で唯一未登場だったフェリックスがついに今回ラストに登場。このまま彼との試合でアニメが終わり、ということはないと思いたいですが、さて……


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