『長安二十四時』 第4話「午の刻 窮地の靖安司」
トゥガルの遺した言葉から狼衛の目的が長安に火を放つことだと察し、牢から釈放されるや都中の油坊を調べるよう命じる小敬。皇室への調査で靖安司に累が及ぶことを恐れる何執正だが、そこに龍武軍と右驍衛の兵が押しかけ、靖安司の権限を奪おうとする。辛うじて一刻の猶予を得た李必と小敬だが……
またもやアバンに登場する狼衛ですが、ここで以前名前だけ登場した右刹なる人物が登場。波斯僧の格好をしたこの人物は完全に曹破延より立場が上の存在で、靖安司に目をつけられた曹破延を、制裁として髪剃りの刑に処すのでした。どうやら元々の作戦は、王宋汜将軍の娘を誘拐して将軍を操り、狼衛の故郷を奪った大食を討たせるという、想像以上に壮大なもののようですが、ここに如何にチェラホトが絡むのか……
しかし敵ボスかと思いきやいきなり小物に格下げされた曹破延も、色々と屈託を抱えているようで、この先が気になります。
さて、そのチェラホトの正体が放火であると看破した小敬は(何執正が懐遠坊の大司儀と交渉成功したこともあって)牢から出されるや否や李必らにそれを訴えかけます。これを一笑に付したりせず、ただちに分析にかかるのが靖安司の良いところですが、さて判明したのは長安が想像以上に火に弱いこと。しかも今日は灯籠というそもそも火を扱うものが所狭しと並ぶ上に、人手で大混雑――その被害はどこまで広がるかわからない、恐ろしいテロであります。そして完全にその場の主導権を握って油の流通を調べさせる小敬ですが――都の内外で不審な動きはありません。調べられなかった皇帝の油坊以外は。
そちらも調べさせようとする小敬ですが、さすがにそれは難色を示す李必。もちろん小敬は怒りますが、何執正はいま靖安司を潰すわけにはいかないこと、李必が今の太子の味方になれる唯一の人物であることを語ります。が、さすがに何執正はぶん殴らないものの、お上の政治の話に振り回される小敬は不満顔であります。
しかしここで本当に政治的な大アクシデントが発生。右相配下の右驍衛、そして皇帝の近衛である龍武軍が靖安司に兵を連れて乗り込んで来るや、狼衞を取り逃がしたことに難癖をつけ、捜査の権限をよこせと言い出したのであります。ここで一団を率いる龍武軍の陳玄礼将軍がまた見るからに無能っぽいビジュアルで、靖安司のデータ担当・徐賓が、地味な嫌がらせで次々と暗唱する、龍武軍の過去の失敗も納得です。
とはいえ、これは単なる横やりではなく、右相が帝を動かしての命令であります。しかも、止めに入った何執正に対しても、以前出していた隠居願いを悪用して、今日この場で隠居を認めるという詔まで用意しているという周到さであります。これにはさすがの何執正も逆らえず、一刻の間に手がかりを得たら靖安司から手を引くというという譲歩を辛うじて相手から引き出して、寂しく靖安司から去るのでした。
というわけで政治的な後ろ盾を失い、丸裸になってしまった靖安司。李必の方も、右相の不正告発のために押さえていた証人を殺された上に証拠を奪われ、大打撃なのですが坊しかしそれでも屈しません。こちらも腹が減っては戦はできぬと、屈せずに大飯を食らっている小敬に対し、飯代代わりに働けと気の利いたことを言うのですが――もし自分に何かあったら、お前が靖安司を率いろと告げる辺り、本気度と小敬へのある種の信頼感がうかがわれます。
そんなところに飛び込んできたのは、懐遠坊の戸籍の調査に当たっていた姚汝能からの急報。姚汝能は小敬が捕らえられた時に言い残した言葉通り、祠に寄付した住人と戸籍を突き合わせ、不審者を調べていたのですが――油の調査の時も前面に立って動いていたし、何気に真面目で有能です。
それはともかく、判明したのは、龍波なる人物が戸籍を偽っているらしいという疑惑。二ヶ月前から姿が見えないという龍波の家を捜索してみれば、薩珊(サーサーン朝)の金貨がざっくざく。さらに「思恩客」「平康坊」と裏表に書かれた札を発見したというのですが……
というわけで、前回は小敬が政治のおかげでいきなり足を引っ張られたと思えば、今回はサブタイトル通り靖安司自体が大ピンチになるという展開。まだ第4話だというのにこんな状態で、この先大丈夫なのか……
そして文字通りのリタイアとなった何執正ですが、疑おうと思えばこの人も色々疑わしいような気もします。慎重を期しているといいつつ、随所で捜査の足を引っ張ってませんか? 大丈夫?
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