『長安二十四時』 第5話「午の刻 人脈を持つ男」
龍波の馴染みの妓女を探し、平康坊に向かう小敬。その途中、自分に恨みを持つ熊火幇の襲撃を受けた彼は、辛くも躱し、姚汝能とともに知り合いの妓女・李香香に会う。彼女から葛の旦那に遭うように促され、二人は平康坊の地下に向かう。一方、王宋汜将軍の娘・韞秀は罠にはまり、狼衛の手中に……
毎回お馴染み(?)のアバンでの悪役サイド、今回は龍波の登場であります。彼の潜伏場所に、前回登場したのとは別人のように艶やかな衣装で現れ、親しげにしなだれかかる魚腸。トゥガルから地図を回収したと告げる魚腸ですが、龍波は余計なことをしたと言わんばかりにすげなく振り払います(あっ、これ女性の内面を読めずに滅びるタイプだ)。それはともかく、右刹と組んでいるらしい二人ですが、「延州の物の受け取り」が最重要任務と言っているのを見ると、まだ別の企てがあるのでしょうか。
さて、前回ラストで龍波の家から「思恩客」「平康坊」と裏表に書かれた札を手に入れた靖安司ですが、これは妓楼で妓女が馴染み客に渡す常連の証のようなもの。えっ、そんな足が付きそうなところに通って、しかもそれをわざわざ残してきたの? と思ってみれば、無数にいる妓女の誰が渡したかは、簡単にはわからないとのこと(そして後者については、どうもそんなところに通っている龍波への嫌がらせに魚腸が残した様子――ほら、早速破綻が)。
いずれにせよ、そんなところに役人が行き、法に則って捜査しても相手が口を割るはずがない。それならばここは小敬の出番――「無法が俺の法だ」と格好良いことを言い、馬で平康坊に向かう小敬ですが、しかしその彼を窺う男たちがおります。彼らこそは熊火幇――小敬の罪状を語る際に言及される三十四人殺しの相手であります。小敬が出獄したと知り、その時のお返しをすべく、小敬を追いかけ始めたのを見ると、やはり幇を相手にするのは怖いと思います。
一方、狼衛の件とは別に右相の汚職の証人殺しの行方を追う檀棋は、被害者が使っていた香を作っているのが聞染という娘であることを突き止めます。この聞染、今は上客である王宋汜将軍の娘(!)王韞秀と行動を共にしていたのですが――じゃじゃ馬らしい王韞秀は、聞染の父の仇である熊火幇を捕えるため、わずかな手勢を率いてお忍びで行動中。これは猛烈に悪い予感が……
そしてわりと芸もなく、街中で徒党を組んで小敬に襲いかかる熊火幇ですが、今は捜査が最優先の小敬は戦いを避けて逃げるばかり。そんな彼の元に兵を差し向けて助けたのは姚汝能――登場時は高慢なヘタレかと思いきや、その後の行動は今回も含めてなかなか有能に感じられます。この姚汝能、平康坊に向かう道すがら、小敬の過去のことを聞き出そうとしますが、それも自作の小説の題材にするため――といけしゃあしゃあと語る辺り、何とも憎めない人物であります。
さて、その一方で聞染とともに、熊火幇のアジトに乗り込んだ王韞秀ですが、予想通りというべきか、不意を突かれて配下は皆殺し、そこに現れたのは、曹破延であります。やはりここは狼衛のアジト、そして曹破延が聞染にニヤリと笑ってみせたところを見れば、やはりこれが前回右刹が語ってた手はずだったのでしょう。しかし聞染が狼衛と組んでいるとすれば、右相の証人殺しの件も狼衛は繋がっているのか――?
そんなことが起きているとは露知らず、平康坊で妓女の李香香の部屋に上がり込んだ小敬と姚汝能。何やらワケアリらしい小敬と李香香ですが、小敬は相手にせず、単刀直入に用件を切り出します(一方、李香香にいいようにこき使われている姚汝能が可笑しい)。しかし相手も海千山千の妓女、小敬の問いをはぐらかしたりそらしたり、まともに答えないのですが――これはどうやら、平康坊に屋敷がある右相の間者があちこちにいるためもある模様であります。
何はともあれ、葛の旦那なる人物に会えばと李香香に言われた小敬と姚汝能は、平康坊の地下に広がる街に向かうことになります。見るからに曰くありげな、もう一つの街へ……
そしてその頃、ただ一人で右相のもとを訪れる李必。何執正が隠居させられたことで太子や側近に責められた李必は、何執正を灯籠の宴に出席させてみせると、心中期するところがあるようですが――しかし右相の側は、彼を靖安司の代表として審問するつもりだった様子。こちらはこちらで面倒な事態になりそうで――というところで次回に続きます。
今回は比較的アクション少なめ(小敬と熊火幇の追いかけっこと、王韞秀の配下たちが殺されたシーンくらい?)でしたが、靖安司の権限剥奪は相変わらずカウントダウン中という緊迫した状況。その一方で敵の側もそれぞれに計画を進めていて、まだまだ先が読めない展開が続きます。
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