『長安二十四時』 第8話「未の初刻 小敬の過去」
単身修政坊の狼衛のアジトに接近する張小敬を射殺しようとする曹破延だが、小敬のことを知る聞染はこれを止め、小敬と接触する。聞染の登場に驚きながらも彼女を逃し、単身突入する小敬だが、王ウン秀を盾にされ、狼衛に捕らえられる。その頃、李必は小敬と聞染の父の関係を調べていた……
今回冒頭で描かれるのは、王ウン秀を騙して捕らえ、曹破延ら狼衛と対面する聞染の姿。何故長安の人間が自分たちに協力をと疑う曹破延に対し、聞染は父を殺した長安を憎んでいると答えるのでした。
一方、右相の不正の証人殺しに絡んでいると思しき聞染を追う李必は、彼女の経歴を調べる中で、彼女の父が消息不明となった年に朝廷が辺境を守る兵を募集していたことから、その線での調査を命じます。が、同時に張小敬もその年に軍に入隊していることに気付くのでした。
その小敬は、姚汝能に頼んだ援軍の派遣を待たずに灯籠売りに化けて修政坊の狼衛のアジトに接近しますが、狼衛側には一発で怪しまれ(というより接近する者は全て殺す方針の模様)、曹破延は彼を遠間から射殺すように命じますが――しかしやってきたのが小敬と見た聞染は、突然彼は自分を迎えに来た夫だと言い張り、小敬のもとに向かうのでした。
そして聞染と対面する小敬。互いに顔なじみの間柄らしい二人ですが、小敬にとってこれは予想外の対面であったのか、彼女がここにいることを問い詰めます。が、彼女が言を左右するのを追求する間もないと考えたか、彼女に後で落ち合おうと告げると単身アジトに突入。一方、小敬の言葉に従ってその場から離れる聞染ですが、小敬の後を追ってきた熊火幇のヤカラどもに見つかり、小敬の居場所に案内するように強いられることに……
その頃、聞染の父のことを調べていた李必は、そのものズバリの名ではないものの、聞無忌なる人物が、小敬と同じ部隊にいたことを突き止めます。最前線の烽燧堡で味方の援軍もないまま孤軍奮闘し、200名を超える部隊のうち、9名しか生き残らなかったというその部隊――小敬と聞無忌は、その生き残りに含まれていたのであります。そしてそこからさらに李必は、小敬の34名殺しの背後に深い事情があることを察するのでした。
その頃単身アジトに殴り込み、たった一人で狼衛の集団を向こうに回して獅子奮迅の大暴れを繰り広げる小敬。外での射撃戦を制し、屋敷の中に飛び込んでは地形を活かして多勢を翻弄し――と桁外れの強さを見せる小敬ですが、王ウン秀を殺すと脅されては戦いようもなく、武器を捨てて捕らえられるのでした。
そして吊り下げられた末、銅銭ほどの肉を削いでいく銭削ぎなる拷問を仕掛けられる小敬。狼衛がどこからこの場所を知ったのか吐けと迫る中、小敬の心の中に浮かぶのはあの地獄の戦場――そう、烽燧堡の戦いの様子であります。戦友たちと肩を並べる若き日の小敬ですが、そこには確かに聞無忌の姿が――どうやら小敬より少し年かさに見える、なかなか食えない人物の印象です。
時に沈黙を、時にこちらを翻弄するような小敬をさっさと殺して計画を早めようとする曹破延と、右刹を待つべきだという他の狼衛と、意見対立に救われている感もある小敬。しかし小敬を救援すべき崔器の部隊は、崔器自身が間者を殺した小敬に対して激しい敵意を抱いている(むしろ捕らえようと李必に進言するほど)のに加え、街の喧騒に阻まれて修政坊までまだまだ辿り着けない状況。ついには花車の芸比べにぶつかり、完全に足止めされる羽目に……
ほとんど物語始まって以来最大の大立ち回りを小敬が見せる(建物のセットをフルに使っての立体的なアクションが圧巻)一方で、彼の過去にまつわる様々な情報が提示された今回。聞染が父を熊火幇に殺されたと以前語っていたのが真実であり、小敬の戦友である聞無忌が聞染の父であれば、小敬が熊火幇のメンバーを大量殺戮した事情も想像できるような気がしますが――まださらなる事情があるのでしょうか。
そしてその熊火幇に捕まってしまった聞染ですが、狼衛相手の態度を見るに、かなり機転が効く様子。そんな彼女であれば、これを利用して今の小敬の窮地を救えるのでは、という期待もありますが――相変わらず態度はデカい崔器が全く頼りにならないだけに。
それにしてもその崔器が足止めを食うこととなったパレードの場面の華やかさは圧巻で、本作の物量の凄まじさにはまたも感心させられます。ラストにチラッと登場した女性が、見物の観客たちがコールを送っていた許鶴子でしょうか……(しかし相変わらず中国ドラマらしく妙なところで終わる今回)
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