『長安二十四時』 第9話「未の正刻 誰がために」
右相と靖安司双方が張小敬の過去に辿り着いていた頃、捕われの身の小敬は狼衛に長安の地図を書くと申し出て時間を稼いでいた。地図が書き終わったとほぼ同時に、小敬を狙う熊火幇が狼衛のアジトを襲撃、大乱戦が始まる。さらにようやく到着した崔器の部隊の突入で狼衛は追い詰められるが……
今回アバンで描かれるのは右相の屋敷――小敬が烽燧堡の戦いの生き残りであることを知った右相は、当時兵部尚書の地位にあった自分が援軍を送らなかったために部隊は壊滅したことから、自分は小敬の仇であったかと冷や汗タラリであります。ちなみに右相側にこの情報をもたらしたのは、「三女」なる人物。靖安司側で名前に女がつく人物がいたかな……?(すっとぼけ)
一方、靖安司に戻ってきた姚汝能は李必らに小敬の行動を語り、一体そこまでして小敬を突き動かすものは何かと問います。確かに第2話の時点で既に恩赦の目はなくなっている状況であるのは確かで、長安の市民のためかと思ったものの、しかし間者の小乙を犠牲にし、自分も指詰めまでするというのは、単なる義務感や正義感のみとは思えません。
ここで前回と今回語られたことを整理すれば、小敬と聞染の父・聞無忌は、わずか九名しか生き残らなかった烽燧堡の戦いの戦友。そして帰還して聞無忌は店を開き、小敬は不良帥になるのですが――国の施設の建設を巡る争い(地上げ)で聞無忌は熊火幇に殺され、小敬は復讐のために熊火幇34人のみならず、上官の不良帥を撲殺、さらに一連の事件の背後にいた永王なる人物をボッコボコにした、ということになります。
さてその小敬は、拷問の末に曹破延の手で処刑――と思いきや、いきなり後ろから曹破延をどつく狼衛の同僚・マガル。曹破延やっぱり人望ないのか? と思いきや、お前には娘がいるだろうとマガルは熱く語るのですが――狼衛は娘が少ないのでしょうか? 随分と曹破延も思い入れがあるようですが……
何はともあれ曹破延は拘束され、どさくさに紛れて命拾いした小敬は、長安の地図を書いてやろうとマガルと交渉。どこを書いてやろうかと言われて、どこがいい? と聞き返す狼衛は、意外と抜けているのかそれとも本当は地図は必要ないのか? そして恩知らずの王ウン秀に売国奴呼ばわりされながら小敬が描いた地図には、右相の屋敷の周辺が――おそらくは嘘を描いているのだとは思いますが、あるいは狼衛に右相を襲撃させようというのでしょうか。
しかし地図を描き終わればもう用無し――とばかりに狼衛が小敬に迫ったまさにそのタイミングで、聞染の挑発に乗った熊火幇がアジトを急襲! しかし小敬の隠れ家と思って威勢よく乗り込んでみれば、待ち構えていたのはフル装備の狼衛だったからびっくり仰天――とはいえ熊火幇も面子にかけて退くに退けず、ここにヤクザvsテロリストのドリームマッチが開幕であります。
そしてその隙を逃さず、柱に縛り付けられていた曹破延がアタフタしている間に阿修羅のように暴れまくる小敬。また狼衛に捕らえられた聞染と王ウン秀を人質にされて一度は捕らえられたものの、そこに今度はようやく到着した崔器の部隊が突入して三つ巴の大乱戦――というより崔器の部隊が猛烈に矢を打ち込むものだから、狼衛も熊火幇も壊滅状態であります。
そして屋敷に火をつけようとした狼衛を小敬が阻む一方で、王ウン秀とともに捕らえられた部屋から逃げ出そうとする聞染。突入した崔器は曹破延を見つけ、わざわざ飛び道具を手放して一騎打ちを仕掛けます。お、これはどちらかが死ななければ収まらないやつ――と思いきや、マガルが人質にとった聞染を王ウン秀と思い込んだ崔器は、曹破延とマガルを逃してしまい……
というわけで、三つ巴の大乱戦と小敬の大暴れもさることながら、改めてクローズアップされた小敬が戦う理由(の予想)が印象に残る今回。小敬の34人の理由は今回描かれたとおりだと思いますが、果たしていま靖安司に協力する理由は、右相への復讐(だけ)のためなのか?
確かに赦免の希望もない今、最高権力者である右相への復讐は、大きな行動の理由ではありますが……。間者殺しや狼衛への地図提供などの危ない橋を渡り続ける行動も、明日がない故のものとも思えますが、まだ何かあるようにも思えてなりません。
その一方で早くも壊滅寸前の狼衛。また1/5もいかないうちにここまで追い込まれて、本当にこの先陰謀を遂行できるのか、何だか心配になってきました。
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