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2021.09.30

『長安二十四時』 第13話「申の初刻 隠された陰謀」

 ふとした言葉をきっかけにチェラホトの正体を悟った徐賓。その頃、元載は熊火幇が捕らえたのが王ウン秀であると気付き、利用してのし上がろうと企む。そしてついに龍破のアジトに辿り着いた張小敬は、ただ一人残った曹破延と死闘を繰り広げるが、そこに到着した旅賁軍の行動が大惨事の引き金を……

 オープニングで描かれるのは、前回のオープニングで捕らえられた徐賓が、(牢でずっと前に捕らえられたままこちらも忘れかかっていた書生の)程参と出会う場面。何だか悟り澄ますしてしまったようなことを口走る程参から、衣に以前李必にかけられた墨がついていることを指摘された徐賓は、チェラホトに関する重大な事実に気付くのでした。

 そして牢から出された徐賓が李必に語るチェラホトの正体、いや材料とは墨――西北で算出される石脂(おそらくタールでしょうか)は、徐賓が小敬に聞いたところでは、一壺の石脂で数十人を殺すことが可能で、軍では「猛火」と呼ばれていたと。そんなものを使えば、一晩で長安を焼き尽くすのも容易いと思われますが、しかし長安に持ち込むことができるのか? それを可能とするのが墨だと徐賓は語ります。石脂を燃やした時に出る煙の煤からは墨が作られるのですが、長安の法では、原料の扱いはその製品に準ずる――つまり墨の原料と言ってしまえば、税関を通るのも容易いのであり、そしてこれまでの捜査からもくぐり抜けていたのです。
 ――しかし、今まで小敬が石脂の話をする場面なんてあったかな? と思っていれば、やはりそこを徐賓に問い詰める李必。どうにも徐賓は怪しいと、彼が小敬を選んだ大案牘述で、今度は彼自身が調べられることに……

 そして浮浪者の賈十七に誘き出されたもののすぐに罠に気付いた張小敬は、わざとらしく姿を現した魚腸を追い、一対一の死闘を展開。人間兵器のような魚腸に一歩も譲らず、ほとんど圧倒してみせるのはさすがですが、その状況から(性的な意味も含めて)挑発してのける魚腸の精神性も恐ろしい。結局ここもフェイクであったことを悟った小敬は、再びアジトを探して一人走ることに……

 一方、前回初登場の大理寺評事・元載は、封大倫に招かれて彼の家でもてなしを受け、張小敬抹殺のための便宜を遠回しに依頼されるのですが――事実関係を聞いただけで、小敬と聞家の繋がりが鍵と見抜く辺り、靖安司の誰よりも鋭いかもしれません。しかしその聞染を捕らえたというので覗きに行ってみれば、どうみても商人の娘とは思えぬ高級すぎる簪から皇族か高官の娘と見抜き、事実を知った封大倫を震え上がらせます。
 しかし見捨てて逃げるどころか、これを奇貨として利用してしまおうというのが元載の恐ろしいところ。どうにかしてやると封大倫に恩を売り、王ウン秀のところに行っては助けてやるからと言って状況を聞き出し――その情報を元に、靖安司と右相のところに、同時に封大倫が小敬とともに狼衛から王ウン秀を救ったこと、そしてそれだけでなく、小敬が右相府の地図を描いたことを伝えるのでした。右相は襲撃については一笑に付すものの、小敬が関わっていることはさすがに見逃さず、利用するつもりのようですが――恐れていた展開になってきました。

 そしてついに龍波のアジトに到着した小敬。聞染は必ず助けると決意も新たに足を踏み入れた彼の前に現れたのは、曹破延――彼もまた、血化粧で顔を彩り、絶対抜けぬように剣を手に縛り、覚悟を決めた表情で臨みます。そして始まる激闘は、小敬が押すものの曹破延も引かず、塀から屋根の上まで繰り広げられる大激闘。そして小敬の剣が曹破延の首飾りを切り飛ばし――その場面に、故郷で娘と暮らしていた頃の曹破延の姿が被さるのが心憎すぎる演出!――揉み合ったまま二人が転落した末、曹破延は自らの剣で自らの胸を刺して深手を負うのでした。
 と、そこに駆けつけたのは、崔器と旅賁軍ですが、小敬が止めるのも構わず建屋に踏み込んだところで発動するブービートラップ。一瞬後に起きた凄まじい大爆発は旅賁軍を吹き飛ばし、その爆音は遠く離れた靖安司にまで届くことに……


 というわけで、ようやく正体を掴んだと思えば、ついに大爆発してしまったチェラホト。もちろんこれはほんの一部のはずで、全て使われれば一体どんなことになることでしょうか。。
 まあほんの少し距離をおいていた小敬と崔器、そして井戸に落とされた聞染は大丈夫だと思いますが、少しでも被害を出したら罰せられることになっていた李必の運命も含めて、これまで以上に小敬たちが追い詰められてきたのは間違いありません。

 そして初登場時は面白かったものの、いきなり洒落にならない行動を見せるのが元載。こちらは(史実的にも)李必のライバルになるのでしょうか。今のところはまだその策略の全てはわかりませんが……


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