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2021.09.06

響ワタル『琉球のユウナ』第7巻 決戦目前 ユウナの覚悟、真加戸の記憶

 古琉球時代、朱色の髪の少女・ユウナと尚真王・真加戸の間のラブロマンスはいよいよ佳境であります。自分の出自が、決して真加戸と相容れないものと知ってしまったユウナ。真加戸と共にいることが絶望的となってしまった彼女の選ぶ道は……

 第二尚氏の王たる真加戸と、彼の父に滅ぼされた第一尚氏の嫡流たるティダ――両者の間で続く、七つの「太陽の依り代の勾玉」争奪戦の最中、第一尚氏側に攫われてしまったユウナ。
 そこで彼女は、自分でも思っても見なかったような己の出自を知ることになります。そう、彼女の母は第一尚氏の血を引く祝女だったのであります。

 ただでさえ国内の基盤が固まっていない真加戸の側に、第一尚氏の血を引く自分がいればどうなるか――それがわからないユウナではありません。かくて彼女は、半ば強引にとはいえ、真加戸から離れ、ティダと行動を共にすることに……


 大人びた表情で、真加戸とティダにそれぞれ前と後ろから抱きしめられているという、ずいぶん艶っぽいイメージのこの第7巻の表紙。物語の内容の方も、それぞれユウナを求める真加戸とティダの間に挟まれて悩み苦しむという、いわゆるラブ史劇的展開の真っ只中であります。

 もちろんユウナの想いはあくまでも真加戸と共にあります。しかしそれでも、自分の存在が真加戸のためにならないとすれば――自分自身の影武者に化けて、相変わらず大胆にも直接迎えに来た真加戸を守るため、彼女は自らティダのヲナリ神であることを宣言、真加戸に自らの髪を切って手渡すことになります。
 この物語が始まって以来初めて見るような、決然とした表情でもって……


 そしてそんな衝撃的な別れの後に描かれるのは、真加戸の封印された記憶――この争いのそもそもの始まりというべき、第二尚氏のクーデターに繋がる、第一尚氏最後の王、すなわちティダの父の最期の姿。
 その時に真加戸の前に現れ、今また呪われた菜切包丁の姿を借りて再び彼の前に現れた魔物・ムンの言葉に、真加戸はその記憶を蘇らせることになります。
(何故菜切包丁と思われるかもしれませんが、ここである伝説に繋がるというのが実に面白い)

 しかしここで気になるのは、王に手を下した者の姿。その姿は、どう見てもいまティダの近くに仕えるあの人物(?)なのですが――これは果たしていかなる意味を持つのか? この謎が、あるいは入り組んだ真加戸とティダの関係を解きほぐす鍵になるのかもしれません。
(身も蓋もないことを言えば、責任をおっかぶせても大丈夫な立ち位置だけに……)


 そして七つの勾玉争奪戦も、残すところはあとわずか。ユウナのフォローもあって、真加戸の側には勾玉が三つ、対するティダは一つ――残るは赤犬子が持つものと、あと二つであります。
 しかし赤犬子の勾玉は思わぬ人物(なるほどここでこのキャラか、とちょっと感心。最近影が薄かっただけに……)の手に渡り、残る勾玉のうち一つが眠る神の島・久高島に舞台は移ることになります。

 しかしそこは第一尚氏にとっては因縁の地、そこでユウナが見た過去のヴィジョンの意味するものは、そしてティダの「弟」の動きは……
 いよいよ物語は次巻で完結――それぞれの過去が如何に精算され、そして未来へ如何に歩んでいくのか、クライマックスに相応しい盛り上がりであります。

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