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2021.10.14

『弁慶外伝』 鎌倉伝奇RPG! しかし色々な意味で古典……

 実に今から32年前、PCエンジン用ソフトとして発売された時代伝奇RPGであります。鎌倉時代を舞台に、奇しき因縁を背負った少年・鬼若が、かの弁慶らと共に繰り広げる戦いを描いた本作を、今に至りようやくクリアいたしましたので、今回ご紹介いたします。

 おそらくは鎌倉時代の初期、房総のとある寺で都の僧・法眼に育てられていた少年・鬼若(きじゃく)。何者かに拐われた幼馴染の少女・おコトを救出した彼は、それをきっかけに、自らの出生に秘められているという謎を解くための旅に出ることになります。
 やがて金屋吉次郎こと金売吉次の縁で、衣川の戦を密かに生き延びた伊勢三郎(実はおコトの父)を仲間に加えた鬼若。魔界の侵略が始まったことを知った鬼若は、出羽の法術師・沙夜香、結界の中で眠りについていた弁慶をも仲間に加え、諸国に向かうのでした。

 そして旅の中で、自分の両親の正体を知る鬼若。その後も都から奪われた三種の神器の行方を追って東奔西走、さらには義経の姿が現れたという蝦夷の地に渡り――ついに決戦の地・裏鎌倉に乗り込んだ鬼若たちの前に現れた真の敵とは……


 冒頭に述べたように、今から32年前の1989年(平成元年!)に発売された本作。当時は和風ファンタジーというべき作品はそれなりにありましたが、正史を(一応)背景とした作品はまだ珍しかった印象があります(ちなみに和風ファンタジーの雄・『天外魔境』第1作は同年の発売)。

 ゲームシステム的には当時から見ても非常にオーソドックスな4人パーティー形式のRPGである本作――今の目で見ると当然ながら古さは否めないのですが、それはもちろん言うだけ野暮というものでしょう。当時としては珍しい漢字を用いた画面はなかなか見やすく印象的です。

 さて、ストーリーの方は、上に述べたのがある意味全てというか、かなりシンプルで、ほぼ一本道の、お使いの連続で展開していく内容――というのはこれまた時代を考えれば仕方がないとして、ある意味お約束の物語を日本の舞台設定に当てはめたものといえます。
 主人公の両親があの二人であるとか、ラスボスが――正確にはその裏に真のラスボスがいるのですが――あの人物というのは、これはもう設定的には定番中の定番ですぐ予想がつくのはちょっと残念なところではありますが……(この数年後に発売されたスーパーファミコンの『鬼神降臨伝ONI』とかなり被る)。

 もっともその一方で、常陸坊海尊の扱いや、蝦夷地を異国から来た魔法使いたちが治めているなどユニークな部分があるのは評価できます。


 そんなわけでストーリー的にはそれなりに楽しめたのですが――ゲームとして大きな減点ポイントなのは、その異常なまでのエンカウント率。もちろん運はあるものの、ひどい時は数歩歩いただけで敵が出現。
 さらに、フィールドではエンカウントを封じる術があるものの、ダンジョンでは使えず、ストレスは溜まるばかり(またこのダンジョンの階段が実質ワープポイント並みの滅茶苦茶な繋がり方なので迷いまくる)。

 本作を今頃になってプレイした理由の一つが、最近の色々とリッチなゲームは疲れるので、イベントは少しで、ひたすら戦うゲームがしたいと思ってのことだったのですが――まさかこういう形で叶うとは。

 さらに睡眠と毒以外のデバフ・バフ系の術はそのターンしか効果がないという、ちょっとどうかしているとしか思えない仕様もあったりして――この頃よくあった、プレイアビリティの低さが難易度の高さになっているゲームとなってしまっているのは、やはり残念というほかありません。

 私は今回このゲームを、PlayStation VitaのPCエンジンアーカイブスでプレイしたのですが、携帯機のどこでもセーブ機能がなければとてもクリアできなかったのは間違いないかと思います。
 そんなわけで、物語的にはそれなりに面白いものの、やはり今プレイするにはよほどのことがないと――というのが、今回最後までプレイして確認できたことでありました。

 ちなみに本作、スーパーファミコンで元寇の頃を舞台とした続編『弁慶外伝 沙の章』が発売されており、こちらはなかなかよくできているようなので、いずれプレイしたいと思います。


 ちなみに本作、作中で三年前に義経が蝦夷に現れたという言及があるので、その辺りの年代の物語なのでしょう。
 鬼若の年齢がちょっとややこしいのですが、鬼若は常人より成長速度が早いという設定があるので……


『弁慶外伝』(サンソフト PCエンジンアーカイブス)

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