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2021.10.19

「コミック乱ツインズ」2021年11月号(その二)

 「コミック乱ツインズ」2021年11月号の紹介の後編であります。今回も印象に残った作品を一つずつ取り上げます。

『カムヤライド』(久正人)
 父王の命で、伊勢のヤマトヒメのもとに向かったオウス(ヤマトタケル)とオオウス。彼に対してヤマトヒメが語るのは、ヤマト族の真の歴史、いわば真古事記(!)だったのであります。

 200年前の天孫降臨――宇宙からの「もの」の落下時の爆発によって大打撃を受けたヤマト族。しかしそれは始まりに過ぎず、その落下によって汚染された土から生まれた国津神と、彼らによって土蜘蛛に作り変えられた人々によって、ヤマト族は滅亡の淵に追い込まれるのでした。最後の手段として、落下で生まれた穴の探索を行ったヤマト族は、その地下で落ちてきた「もの」の残骸を――骨と肉を発見することになります。
 重すぎる骨は残し、肉を回収したヤマト族が、木の柱を用いてその骨格を再構築して肉をまとわせ――作り出された巨人。そして後に初代大王となるイワレビコがそこに乗り込み、起動したヤマトオオクニタマは国津神たちを蹴散らし、一路東へ……

 と、光の巨人かと思ったらどちらかというと汎用ナントカ人型兵器だったヤマトオオクニタマ。しかし大変なのはそれから――ヤマトオオクニタマの中から現れたイワレビコは既に「人」ではなく、その後の大王たちにもその影響は遺伝したというのであります(こんなところで記紀での神代の天皇の長命ぶりをフォロー……)。ようやくその影響は収まったものの、国津神復活の兆しにヤマトオオクニタマの力を欲する大王たちは、様々な形で力を取り出すべく、実験を繰り返していたのというではありませんか。
 その一つが「彼」による「あれ」の試作試験、そしてもう一つは……

 と、ここに至り、オウスにまつわる黒い真実がほのめかされるのですが――最後の最後に真の爆弾が炸裂することになります。まさか!? と思いつつも、これまでの単行本を振り返ってみれば、確かに第5巻の冒頭辺りはどう見てもそれ。しかしだとしたら一体――次回は地獄が待ち受けていそうであります。


『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』(重野なおき)
 前回、初陣で彼ならではの冷徹なロジカルさを発揮して見事に兜首を挙げた八郎。評定参加を許されて野望へまず一歩、その翌年には元服してついに直家誕生! ではありますが、まだまだ下っ端に過ぎません。
 そんな中に飛び込んできたのは、一足飛びに城主になるという絶好のチャンス、と言いたいところですが、逆に絶体絶命のピンチに。考えてみれば舞台は瀬戸内だったのだなあ――というところで次回に続きます。

 しかし本作の直家、いまのところまだそこまで黒いことを実行していないせいか、うっかり系策士というちょっと愉快なキャラになっているのが面白いところです。


『仕掛人 藤枝梅安』(武村勇治&池波正太郎)
 いよいよラスト2回となった本作。音羽の半右衛門を狙った切畑の駒吉と羽沢の嘉兵衛は、仲間割れと半右衛門の襲撃、そして梅安の仕掛けによって壊滅。一方、小杉さんは(名前とかちょっと気になるところもあるものの)念願の仕官を――と、万事丸く収まったように見えたものの、剣鬼・北山要之助が梅安を付け狙い……

 という、おそらくはこれが最後の戦いとなるであろう今回。正面きっての戦いではおそらく作中最強の要之助ですが、その彼がさらに不意打ちを仕掛けようというのですから、さしもの梅安の命も今度ばかりは――という場面からのこの展開は、さすがにこちらも完全に予想外であります。
 要之助にとってはもはや交通事故にあったような展開としかいいようがありませんが、彼が仕掛人である以前に剣士であったことぉ考えれば、この結末は、所詮外道は正道には勝てないということの象徴なのかもしれません。

 そしてそれを誰よりよく知るのは、やはり梅安なのでしょう。全てが終わった時、彼が選ぶ道は――次回最終回であります。


 というわけで次号では最終回の『仕掛人 藤枝梅安』が巻中カラー。また、久々にやまさき拓味『雑兵物語 明日はどっちへ』が掲載されます。


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