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2021.11.15

『半妖の夜叉姫』 第31話「竹千代の依頼」

 せつなと二人で妖怪退治の任に当たるも、思わぬ苦戦を強いられるとわ。そこに新たな任務を伝えるために現れた琥珀は、逃げることを恐れるとわへの懸念を告げる。一方、もろははお家騒動解決のため、竹千代に雇われて狸穴島に向かうが、向こう見ずな性分が災いして早速窮地に陥ることに……

 アバンタイトルでいきなりロケットパンチをかます妖怪・岩石魔人相手に戦いを繰り広げるとわとせつな。攻撃力という点では全く問題はありませんが、降参したふりをした敵の攻撃を食らいそうになるなど、どうにもとわはムラっ気がある印象です。

 一方、借金完済まであと一両というところまで来たにもかかわらず、妙に妖怪たちに避けられるようになってしまったもろはは、自分に関する過大評価な(?)噂が広まってしまったのに頭を抱えている状態。と、そんな彼女に仕事を依頼してきたのは竹千代――実は狸穴島の狸平家(……)の跡取りでありながら、お家騒動の末に島を出る羽目になった彼は、ようやく島に帰還を目指すことになったのです。
 そんな二人が出会ったのは阿波の八右衛門――実は狸平家の家老職の家柄だった八右衛門ですが、もろはとは、生まれたばかりの彼女をかごめたちから託され、妖狼族に届けたという因縁があります。因縁といえば、狸穴島で邪悪な満月狸を封印したのはかごめということなのですが、もろはは八右衛門から、かごめと犬夜叉が既にこの世の者ではないのではと聞かされて、さすがにショックを受けることに……

 さて、再びとわとせつなの方に戻れば、二人のところに琥珀と翡翠が現れます。前回何となく語られていましたが、北の退治屋の頭から雪乃国での仕事を依頼され、戦力を求めてとわとせつなのところにやってきた二人。しかし琥珀は、せつなのみを連れて行くと告げます。
 とわが相手の攻撃を躱す――言い換えると逃げることを極度に恐れていると指摘する琥珀。琥珀は、自分がこれまで見てきた中で、どんな相手でも退かなかったのは殺生丸と桔梗のみだった――つまりその二人でないとわは逃げてもよいのだ、と語ります。かつて二人と一緒に旅した琥珀ならではの言葉ではありますが、しかし作中最強クラスの怪物二人と比べても、説得力は微妙のような気もします。

 ところでその頃、狸穴島に潜入したもろはは、厳重な警戒がされていると八右衛門狸に警告されたにもかかわらず、何にも考えずに正面から突入。速攻で見事に罠にはまり、窮地に陥る始末――この子こそ、逃げることを覚えるべきでは……

 そして翌朝にはせつなが雪乃国に旅立つという晩、岩石魔人の親玉と対峙し、これを真っ向から粉砕してのけるとわ。しかし彼女は琥珀の指摘が正しいことを痛感するのでした。自分は、自分の弱さをせつな(を守らなければならないこと)を理由にしていたと……
 そんなとわを離れた場所で見つめながら、彼女は守る人間ではなく守られる人間なんだと、冷静に考えるとストーカーチックなことを呟く理玖ですが――彼がりおんならば心を和らげられると考えて、彼女を是露のところに送り込んだばかりに、是露にせつなが所縁の断ち切りを手に入れたと伝わってしまったのは大失敗のように思えます。


 タイトルからもろはと竹千代主役回かと思えば、どちらかといえばとわがメインだった今回。むしろもろはたちの出番は少なめで、雪乃国での依頼もこれからということを思えば、前後編の前編という印象もあります。

 それはさておき、やはり今回のメインとなるのは、琥珀に指摘されたとわの弱点でしょう。
 これまでもせつなから散々甘ちゃんだと指摘されてきたとわですが、やたらとハードな境遇のせつなと比べたら、現代人のとわはそりゃどうしてもなあ――と、そこまで深刻には思えなかったのも事実。しかし今回、琥珀の口から、せつなに絡めて指摘されたことで、なるほど、と腑に落ちました。

 武器という点では最強の斬星剣を手に入れた一方で、それを使いこなせるかはまだまだわからないとわ。それはせつなも同様ですが――この先の物語は、二人の心の成長が主眼になるのでしょう。
 その前に、武器も心も未熟なもろはに救いの手を……


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