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2021.11.21

『半妖の夜叉姫』 第32話「七星の小銀河」

 せつなを見送り、一人残ったとわの前に現れたりおんと理玖。二人と行動を共にすることになったとわの前に、麒麟丸が現れる。一方、雪乃国に向かったせつなたち退治屋一行は、五穀村を襲う妖怪・炎牛退治を請け負う。また、狸穴島で家老一派に捕らえられてしまったもろはも、独自に動き始め……

 前回のラストを受けて、三人それぞれの行動を取ることとなった夜叉姫たちを描く今回。完全に三人が別行動というのは、これまでありそうでなかった展開ですが、特にとわがメインとなっている印象があります。

 前回、りおんの口からとわたちの現在の状況を聞いた是露が正体を隠して訪れたのは、公家妖怪・七星の館――秘蔵の「小銀河」なる香木で人の涙から取り出した悲しみを香りに変えるという悪趣味な七星は、是露からも悲しみを取り出そうとします。が、何と彼女からは悲しみが取れない――そういえば是露は己の悲しみの涙を虹色真珠に変えて切り離しておりました。そして驚く七星を前に正体を現した彼女は、七星の庭園を使って何やらとわに罠をかけようという真意を現すのでした。

 そのとわは、前回琥珀から弱点を指摘された末に退治屋の任務から外されたのですが――一人残された彼女の前にりおんと理玖が現れます。是露が狙っていると警告し、とわを守るため行動を共にするという二人。視覚が麒麟丸と繋がっているために、理玖が少し離れて移動する一方で、とわはりおんを自転車の後ろに乗せてなかなか楽しそうですが、そこに早速麒麟丸が現れるのでした。
 前回あれだけ言われたにもかかわらず、逃げずに斬星剣を手に迎え撃とうとするとわ。しかしその前を、風車を手にした幼子・阿久留が横切ります。しかしその姿が見えているのは、とわのみ――阿久留を探し求める麒麟丸が言うには、阿久留の姿を見ることができるのは、殺生丸の血族のみ(事実、今回阿久留はせつなの前にも現れました)。気が削がれたか麒麟丸は引き上げますが、行きがけに放った攻撃で、理玖は目をやられることに――なったのですが、こ麒麟丸に視界を盗み見られることがなくなったのは、これはまさに怪我の功名というほかありません。

 さて、雪之国に向かったせつなと琥珀、翡翠ら退治屋一行は、そこで北の退治屋たちと合流。この北の退治屋、何だかこの世界らしくないキャラデザの面々――というのはさておき、彼らの任務は、「五穀の恵み」なる秘宝の恩恵で豊かな暮らしを送る五穀村を襲う妖怪・炎牛の群れの退治であります。本来であれば土地神によって制されているはずの炎牛ですが、しかしその土地神・魔夜中が、炎牛をけしかけている様子。これはどう考えても色々と裏がありそうですが……
 何はともあれ、祈祷によって吹雪が起こされて炎牛の動きが封じられている間に、退治屋たちは村を守るべく配置につくのでした。

 そして狸穴島に向かったもろはは、いきなり突っ込んで罠にはまり、絶体絶命――というところまでが前回描かれましたが、あっさり捕まったらしく、牢屋に放り込まれる羽目に。しかし現代から持ち込んだ十徳ナイフで脱獄した彼女は、竹千代そっくりの弟・菊之助と、大家老の狸穴将監の姿を天井裏から目撃――名前からしていかにも悪そうな将監が、気の弱そうな菊之助を擁立、裏からお家を壟断するという、お決まりの構図の模様です。
 そして脱獄がバレたもろはは、久々に国崩しの紅夜叉となって狸たちを粉砕、現れた巨大な満月狸に挑むことになります。これまでの自分とは違うと、紅夜叉の弱点は克服したと言わんばかりの姿が、逆にフラグにしか見えず実に心配なのですが……


 というわけで、三つのエピソードが同時進行する分、一つ一つの時間は短めで、まだどのエピソードも途中という状態の今回。とはいえ、これまで三人で行動するのが当たり前だっただけに、単独行動、それも趣が全く異なる展開が並行して描かれるのは新鮮で、むしろ大歓迎であります。

 しかし、タイトルになっている七星が、ほとんど冒頭に顔見せのみに近い状態なのはさすがにいかがなものかと感じます(前回もそういうところはありますが)。もっとも、七星と小銀河の設定自体はかなり面白いので、今後の出番に期待したいところです。


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