「鬼滅の刃」遊郭編 第四話「今夜」/第五話「ド派手に行くぜ!!」
善逸が消息を絶ち、撤退命令を出す宇髄。しかし調査を続けた炭治郎は、鯉夏花魁を襲った直後の堕姫と遭遇、遥かに格上の相手にヒノカミ神楽で挑む。一方、伊之助はまきをらを拐った蚯蚓帯の棲家を発見、突入するが、多数の人質を取った相手に苦戦する。しかしそこにド派手にあの男がやって来る……
いよいよ堕姫との戦いがスタート、アクションが主体ということもあり、年越しを挟んだ二話をまとめて紹介します。
前回のCパートでホラー映画のようなノリで善逸が襲撃されましたが、そのまま彼は行方不明に。それを知った宇髄は、屋根の上で状況報告というかわちゃわちゃやってる炭治郎と伊之助の前に現れると、静かに自分のミスを認め、撤収を命じます。
この辺りの態度は、初登場時の狂騒的なノリはどこへやら、部下を率いる立場として冷静に決断を下せる、まさに「頭」というべきもの。煉獄とは全く違うタイプではありますが、やはり宇髄もまた、柱たるに相応しい人物だと感じさせられます(いや、他の柱は岩と蟲以外は個人営業タイプですが……)
ここで階級表の説明で伊之助と村田が口喧嘩するという思わぬ形(これを予想できる人間はいないと思う)でゲスト出演があったりしましたがそれはさておき、二人がこの命令に素直に従うはずもありません。むしろさらにやる気になった炭治郎は見世の調査を終え、男の姿に戻って鯉夏花魁に別れを告げます。
第四話のアバンで描かれるように無茶苦茶よく出来た人間である鯉夏に笑顔で送り出され、炭治郎も身請けされる鯉夏にお幸せと声をかけ、何だか本作には珍しいホッとできる場面ですが――その空気をぶち壊すように、直後に鯉夏を襲う堕姫。それを察知した炭治郎が駆けつけ、ついに堕姫とのバトル開始! 帯での打ち上げからの空中戦という派手なムーブが前哨戦に過ぎないという、激しすぎる戦いが始まることになります。
一方、こちらもやる気満々の伊之助は猪ヘッドとドッキング、ムキムキねずみの持ってきた刀を手にしますが――あからさまにリアリティレベルの異なるこのねずみの説明を(頑なにナレーションを入れない)アニメではどうするかと思いきや、普通に伊之助が説明&大正コソコソ噂話で補足。俺も忍獣使いてえ! とは伊之助の言ですが、自分自身がソレみたいな身なりだからな……
さて、ここまでが第四話。第五話は、華やかな表通りから一転、薄暗い切見世へ移り、宇髄が囚われの雛鶴を発見するアバンからスタート。救い出した雛鶴に促された宇髄は、地面の下で戦闘が始まっていると察知、そこに行く道がない(狭すぎて全身の関節を外せる変態でないと通れない)ことまで見て取るや、ついに音の呼吸壱ノ型炸裂! その破壊力たるや、離れた場所で戦っている炭治郎のところに爆音と濛々と舞い上がる土埃が見えるほどですが――むしろ炭治郎の方にまっすぐ助っ人に来て欲しかった気もいたします。
しかし炭治郎は一人でも頑張ります。いまだ使いこなすには限界のあるヒノカミ神楽を、「心を燃やせ!!!」と年末に紅白で国民葬された煉獄の面影とともに発動。これまで鬼の犠牲となった、犠牲を背負った人々の面影を背負って戦う姿は、いかにも主人公らしくこちらも燃えます(そして今考えてみるとすごい伏線だった炭治郎の体温)。
一方、その少し前、伊之助はダイナミックに見世の中で暴れ回った末に、変態挙動で穴を辿って地下の蚯蚓帯の巣に単身突入、互角以上の戦いを繰り広げるのですが――さすがに数多くの人質を背負っては分が悪い。しかし帯の中から復活したまきをと須磨がサポートし、寝たままの善逸が滅茶苦茶格好良く霹靂一閃六連を発動! そしてさらに、先に描かれたように、地上から一撃で地底までブチ抜いた宇髄が駆けつけたではありませんか。
そしてここで描かれるのは、まきをの回想――かつて任務遂行より自分の命が最優先(そして宇髄にとっては嫁三人が最優先)と言い切った宇髄の姿。死ぬなよっとと軽くハンドサイン出しながら言うにはあまりに重く、そして優しいその言葉を実証するように駆けつけた宇髄は、やはり格好良い……
(第五話の大正コソコソ噂話では、宇髄に嫁が三人いるのは、別に彼がどてらいヤツだったからではなく、元々そういう掟だったと語られるのですが、それだからこそ、三人を慈しむ天元の格好良さが際立つと思います)
そして本当に滅茶苦茶派手なアクションからの「ド派手に行くぜ!!」で宇髄が本格参戦――なのですがまだまだ戦いはこれから。いよいよここからが遊郭編本編であります。
というわけで、アクション描写になかなか気合が入っていたこの二話。ちなみに第四話は原作第75-76話の二話分だった一方で、第五話は第77話-第80話冒頭の三話半分。個人的には後者くらいのペースで丁度良いように思います。
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