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2022.01.18

「コミック乱ツインズ」2022年2月号(その一)

 号数の上では2月号ですが、発売月でいえば今年最初の「コミック乱ツインズ」の紹介であります。今月号は表紙が『暁の犬』、巻頭カラーが『侠客』、特別読切りとして『懊悩寺おつとめ日鑑』が掲載です。今回も、印象に残った作品を一つずつご紹介します。

『暁の犬』(高瀬理恵&鳥羽亮)
 前回思わぬ「強敵」の登場に、これまで考えてもみなかった自分の未来について思いを馳せることになった佐内。しかし事態は否応なしにそれよりも手前――眼の前の戦いに向けられることになります。相良から伝えられた新たな事実。それは、ついに敵方の隠れ家――すなわち二胴の剣士養成所の在り処が判明したというものだったのですから。

 そして相良配下の吉兵衛に伴われて、亀戸のその隠れ家に潜入した佐内。そこで彼が目撃したのは、これまで「敵」と認識してきた面々に加えて、以前自分を襲撃してきた二胴の剣士の存在(よかった、やっぱり満枝さんの父親じゃなかった……←まだ疑っていた)。その剣士の指示により、二胴の稽古が行われる様を、佐内は見届けることになります。
 巻藁や木などではなく、死体とはいえ人間の体に対して行われる二胴の稽古。それは稽古というにはあまりに悍ましい、鬼畜の所業と感じられます。佐内が獣であれば敵は鬼――いずれも人の道を踏み外した者同士の決着を付けるため、かつて立木野さんから諭されたように、己の命を擲っての剣を振るう覚悟を決めた佐内ですが……

 はたしてその剣が相手に届くのか、そしてそれは彼の眼の前を、そして未来を切り開く術となるのか――それはわかりませんが、今回のラストのこれまでとはまた違うタッチで描かれた佐内の表情には、決戦が近いことを否応なしに感じさせられるのです。


 特別読み切り『懊悩寺おつとめ日鑑』(芳家敬三)
 江戸で僧の修行に励む青年僧・道慎を主人公に、主に下半身方面から江戸の僧の姿を描くシリーズの第2弾である本作は、梵妻――僧侶の隠し妻を題材としたエピソードとなっています。

 修行する寺の和尚の梵妻に、縁切の使いに出され、そこで八つ当たりを受けて怪我したところを女手一人で小間物屋を営む響に助けられた道慎。僧にあるまじき梵妻の存在に憤る道慎に、寺の長老・黙仁は、人には人の数だけ事情があると諭すのでした。
 その数日後、響の子を拐かそうとした男を捕らえた道慎は、思わぬ真実を知ってしまうのですが……

 配置的に人間関係は容易に予想がついてしまうものの、それだけにクライマックスの展開が衝撃的な本作。これはどこまでが史実なのかわかりませんが、黙仁が語る僧の親子関係も興味深いものがあります。
 とはいえ、どうしてもすっきりしないものが残ってしまう結末なのは前回同様。もちろん、そういう物語というのは間違いないのですが、なかなか難しいところではあると感じます。


『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』(重野なおき)
 浦上家中でようやく名前を上げたと思えば、早速宗景から密命を下された直家。その密命とは、同族である浮田国定討伐――同族とはいえ、当然(?)相手に容赦するつもりはない直家ですが、国定が依るのはかつての祖父の城である砥石城、堅固で知られる城であります。
 旧臣たちが内部の構造を知っているとはいえ、この名城を相手に直家も攻めあぐねて……

 というわけで、パリピに見せかけて腹黒い宗景の命で始まった同族との争い(攻められる側の国定のセリフには爆笑しつつ納得。それは確かに……)。しかし直家であればアレをアレして簡単に殺っちゃうのでは? と思いきや、いきなり苦戦するのは意外のような納得のような気がいたします。
 とはいえ、いつまでも膠着していられるわけでもないのは事実。この合戦の行方は果たして……


 長くなりましたので二回に分けます。


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