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2022.01.24

高橋留美子『MAO』第11巻 菜花の新たなる力? なおも続く白眉一派との戦い

 謎が謎呼ぶ大正伝奇ホラー『MAO』。摩緒や菜花たちと新たな御降家を作り出さんとする白眉一派との戦いに収束していく、平安時代から続く血塗られた因縁。そんな中、町を騒がす「血の流れない」殺人事件の調査に向かった摩緒たちが知った真実とは……

 強盗や通り魔などの現場で、被害者も加害者も殺され、そして血を抜かれているという、「血の流れない」殺人事件。この事件の調査に向かった摩緒と菜花は、現場近くに住む片目と片腕に傷を負った未亡人・叶枝と出会うことになります。
 かつて嫁ぎ先で強盗たちに家族を殺され、そしてその強盗たちも何者かに殺されて血を抜かれていたという事件を経験していた叶枝。彼女からおかしな気を感じた摩緒は、彼女に憑いたものを祓おうとするのですが……

 という展開を受けてのこの巻の冒頭で描かれるのは、叶枝を巡る悲劇の真実。まあどう見ても彼女が怪しかったわけですが、それでは彼女に何が起こったのか、そして仮に彼女が人を殺め、血を吸ったとしてそれはどうやって――という疑問の答えが、描かれることになります。

 しかしこれはこの先の展開の序章であり、そして前巻で描かれた、戦う力を求める菜花の想いを受けた物語へと続いていきます。
 事件の背後に存在していた妖刀――その力を狙って現れたのは、以前、「獣」の力に魅せられて白眉に付いた少年・双馬。以前登場した際は猫鬼の力を発揮した菜花と激突し、それぞれ摩緒と白眉に対する立ち位置も含め、どこかライバル的な趣きも感じられる二人が、今回もまた激突することになります。

 そして発揮される菜花の新たな力――なるほど、これまで幾度か描かれてきた菜花の力、猫鬼の力がこう使われるのかという、ビジュアル的にも面白い――しかし冷静に考えれば相当に凄惨な技として発揮されたそれはまだまだ荒削りなものであります。
 大きすぎる力を使いこなすには、強い心が必要というのは定番ではありますが、メンタル的には、彼女は普通の女の子(「噂に聞いた○○○○○」とガバッとなるくだりは実に微笑ましい)。まだまだ前途多難という印象です。


 さて、一つの戦いが終わってもまたすぐに襲い来る白眉の刺客。次なる敵は、前巻に登場した、人を体内から燃やし尽くす呪術・苛火虫の使い手・送り火の蓮次であります。
 その際は、要人暗殺を行っていたところを百火と摩緒の連携に敗れ去り、片腕を失った蓮次。しかしその片腕を白眉一派の術者・芽生によって再生した彼は、菜花を人質に摩緒に迫ることになります。

 本来であれば、苛火虫を操ることができる以外は常人でしかない蓮次と、様々な術を操り不老不死の肉体を持つ摩緒では、そもそも勝負にならないはずですが――それを補うのが蓮次の狡知と執念。
 はたして何が彼を突き動かすのか、そしてそもそも彼が苛火虫を使うようになった理由は――というわけで、彼の過去が語られ始めたところで、この巻は幕となります。


 正直なところ、ここしばらくは白眉一派との戦いが続き、そろそろ大きな動きが欲しいところですが、蓮次を追って摩緒が白眉の本拠らしき地に乗り込んだことで新しい展開があるかどうか、気になるところではあります。

 それにしても白眉一派も、白眉以外の術者(蓮次のように呪具を操る者も含めて)は、蓮次・双馬・かがり・芽生と、不知火を入れて五人。
 操る術の内容も、双馬を金、かがりを地と考えれば五行が揃ったわけですが、御降家の因縁を――百火たち五人の運命を――考えれば、これはこれで不吉な事実に感じられる、というのは深読みが過ぎるかもしれませんが……


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