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2022.07.09

細川忠孝『ツワモノガタリ』第2巻

 格闘漫画の文法で、新選組の強者たちの激闘を描く意欲作、待望の第2巻であります。一の段の沖田総司vs芹沢鴨はいよいよクライマックス、そして続く二の段では、藤堂平助と、薩摩の人斬り・田中新兵衛との死闘がスタートいたします。

 元治元年(1864年)のある晩――新選組屯所での飲み会の肴代わりに近藤が言い出した「この国において最強の剣客は誰か?」という話題。かくて語られることになった第一番勝負が、沖田総司vs芹沢鴨の死闘であります。
 暗殺に向かった沖田の天然理心流と迎え撃つ芹沢の神道無念流の死闘は、沖田が神技というべき三段突きをヒットさせたものの、芹沢は相手の未発の象を読む無念無想でそれ以上踏み込ませない鉄壁のガードを固めます。体格と膂力で勝る芹沢に追い詰められた沖田は、そこで極意・天地人の構えを……

 と、見たことも聞いたこともない剣技の登場で終わった第1巻。手は右手で柄尻いっぱいを握り、左手で刀の峰を持つという諸手の構え、足元は進退自在の位に構えたこの天地人から繰り出される攻撃は――その詳細は伏せますが、漫画としてのケレン味は十二分にありつつも、根底に剣技・剣理に則った描写を行う本作らしい必殺剣っぷりに、テンションが上がります。
(真剣勝負と言えば一撃必殺の印象が強いだけに、こういう効果の技もアリなのか!? とも。これは無念無想との噛み合わせによるものではあるのかもしれませんが……)

 そして迎える一の段の決着――沖田と芹沢の心情が、芹沢鴨の名を活かした描写を交えて描かれるのも心憎い結末であります。


 さて、二の段ですが――ここで飲み会に遅れて飛び込んできたのが、勝負の主役であり、この巻の表紙を飾る藤堂平助であります。

 新選組八番隊組長であった藤堂――しかしこれは私見ですが、藤堂は他の幹部に比べると、今ひとつキャラクターが浮かびにくいよう印象があります。
 近藤や原田は豪快、土方は冷徹、沖田は純粋、山南は優等生。そんなイメージがある一方で、藤堂にはこれ、というイメージがなかったように思うのですが――本作における藤堂は、登場した瞬間にその言動で周囲の全員から疎まれるというウザキャラ。というより、表紙の表情から何となく察せられるように、一種の壊れキャラであります。

 そしてその藤堂の相手となるのは、幕末四大人斬りの一人・田中新兵衛。こちらはこちらで、別のベクトルでの壊れキャラというべきか――もはや時代漫画ではナニの代名詞の感もある薩摩隼人の一人として、寡黙にしかし熱く燃えて人を斬る、一種の怪物めいた男として描かれることになります。

 そしてそんな新兵衛を認めた武市半平太と、そんな半平太に惚れ込んだ新兵衛と――ここで半平太のために人を斬る前の新兵衛の言動がイイ――二人の出会いの先に、藤堂と新兵衛の激突が始まることになります。
(しかし新兵衛といい以蔵といい、こういう人斬りに好かれる武市半平太は一体……)

 かくて激突する北辰一刀流の藤堂と、薬丸自顕流の新兵衛――この二人はともに超実践流の剣の使い手、そして平然と人を斬る人斬りと、ある意味似たもの同士であります。
 しかしかたや相手の出方に合わせて自在に対応し反撃で決めるタイプ、かたやガード不能の超攻撃力で叩き伏せるタイプと、剣のスタイルは水と油。そんな二人の激突はこの巻の終盤でようやく始まることとなりますが、早くもフルスロットル。どちらに転んでもただでは済まない死闘の先が――スタイル的に不利は否めない藤堂の逆襲が楽しみであります。


 ……と、ここからは余計なお話になりますが、個人的に気になって仕方ないのは、勝負の内容もさることながら、その決着をいかに史実と折り合いをつけるか、という点であります。
 一の段の沖田vs芹沢は、これはもう(沖田が実際に斬ったかはともかく)ここで芹沢が命を落とすことがわかっていたわけですが、しかし藤堂vs新兵衛は、知る限りでは史実では接点はなかったはず。その辺りの整合性をどうつけるのか。

 さらにこの先の展開で言ってしまえば、新選組のメンバーが斬った、名のある(本作で描いて面白い)剣客は少ないはずで、さてその辺りをどのように解決してみせるのか?
 剣の勝負の行方に加えて、こちらの点についても、大いに気になっているところです。

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