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2022.08.15

「コミック乱ツインズ」2022年9月号(その二)

 「コミック乱ツインズ」2022年9月号の紹介の第二回です。今回は小説の漫画化が中心です。


『仕掛人めし噺 藤枝梅安歳食記』(武村勇治&池波正太郎)
 『仕掛人・藤枝梅安』のスピンオフである本作、今回のメインはなんと白子屋菊右衛門――大坂暗黒街の顔役であり、本編では梅安たちの最大の敵となった人物ですが、今回はまだ対立する前の、表向き有効的な白子屋の姿が描かれます。

 梅安と、彼の依頼で匿うこととなった初対面の小杉さんを京の料亭で歓待する白子屋ですが、賀茂茄子の田楽に松茸という実に旨そうな料理を二人に振る舞った後で、自分は軍鶏鍋をがっつく白子屋の姿は、なるほど大物ですが――自分たち暗黒街の住人を軍鶏と同一視し、ひたすら新しい戦いを求める白子屋の姿は、なるほど今回のようなスタイルでなければ描けないものかと思います。


『暁の犬』(高瀬理恵&鳥羽亮)
 満枝さんの決意を知り、もはや色々な意味で覚悟を決めた佐内。一方、相良の側では二胴の隠れ屋敷襲撃を決断、佐内も助太刀に加わることに――と、いよいよ二胴剣士の本拠地ともいうべき地への襲撃作戦が始まります。父の仇と思しき川越は不在ではあるものの、まず二胴との決戦といってよいでしょう。
 しかし冷静に考えれば佐内の仕事は川越を斬ることで、川越の居ない襲撃への参加はサポート範囲外。それでも量産型二胴剣士を稽古台にしてしまえと相良に丸め込まれ、ロハで参加することになったのですが……

 相良の同僚の井口(時々顔を出していたちょっと愚痴っぽいフツメン)には、「タダ働きしにきた女みたいな男」→「相良のナニだからタダ働き」という失礼極まりない連想をされることに。しかし佐内も、自分の風貌と剣のギャップに周囲が驚くことには慣れっこですが、こんな妄想までされるとはさすがに風評被害(?)も甚だしい――というよりこれすべて相良のせいでは?

 と、それはともかく、いよいよ隠れ屋敷に討ち入りをかけた相良チームは、相良の巧みな(どう考えてもこの手の仕事は初めてのカタギとは思えない)指揮で「狗」の残りと二人いた二胴剣士の片割れを封じ、残る一人の相手は佐内がすることになります。ちなみに相良、剣の腕も凄まじく、ますますスパダリ若頭感が高まります。
 そしてここから繰り広げられる決闘シーンは、今回数々描かれた剣戟の中でも屈指の迫力、佐内の技も、それを描くスピード感溢れる筆致も、まさに見事! というほかありません。

 しかし敵方も中核である坂東が残っている状態、裏門にはあの立木野さんが配されていますが、はたして――まだ戦いは終わりません。


『勘定吟味役異聞』(かどたひろし&上田秀人)
 主人公サイドが、紅が吉宗の養女になることに動揺しまくっていた一方で、着々と将軍暗殺に向けて動く紀伊国屋文左衛門。しかしいかに彼が江戸の裏表を知り尽くしているといっても、江戸城の中まではわからない――というわけで、久々登場の永渕から大奥の情報を聞き出します。
 ここで永渕が語る内容は『御広敷用人大奥記録』の方も読んでいるとなかなか感慨深い(?)のですが――何はともあれ、紀文の依頼主である柳沢吉保は、死を目前としながらもはや妄執ともいうべき姿で息子、いや綱吉の子である吉里に覚悟を迫ります。そして吉里もその気に……

 と、着々と大変な計画が展開しつつも、今回のクライマックスはこの先にあります。いよいよ紀州家からの迎えが相模屋を訪れ、実家を離れる際に父・伝兵衛に挨拶しようとした言葉を用人に咎められた紅。それに対して彼女は……
 これだ! これが見たかった! と溜飲が下がる紅の言葉には喝采必至であります。そして紅の方がこのような覚悟を見せてくれるのであれば、男たちも覚悟で応えるべき時でしょう。聡四郎たちの反撃に期待が高まります。


 次回に続きます。


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