『プレデター:ザ・プレイ』(その一) 三百年前の激突、プレデターvsコマンチ族!
狩猟を目的に来襲現れる地球外生命体・プレデターと人間の死闘を描いてきた『プレデター』シリーズにおいて、映像では初めて第一作よりも前――それも今から三百年前の北米を舞台に描かれる物語であります。コマンチ族の娘とプレデター、全く立場を違える戦士二人の激突の行方は……
1719年、北米中西部の大自然の中で生きるコマンチ族――その一人であるナルは、女性としての薬草集めの役割に飽き足らず、兄のタアベのように狩りに出ることを望む毎日。縄付きの斧投げの練習に励んできたナルは、ついに仲間を襲ったクーガー狩りに同行を許されることになります。
しかし兄からチャンスを与えられたものの狩りには失敗――クーガーを仕留めた兄が英雄扱いされるのに対し、複雑な想いを抱くナル。しかし狩りの途中に皮を剥がれた蛇を目撃したことから、何か得体の知れぬモノがいることを予感し、狩りを決意するのでした。
愛犬のサリイのみを連れて狩りに出たナルは、途中で皮を剥がれた無数のバッファローを目撃。さらに巨大な熊を見つけてこれを狩ろうとしたものの、全く及ばず窮地に陥るのですが――その時突如現れた姿なき影が熊に真っ向から戦いを挑み、激闘の末にこれを叩きのめしたではありませんか。
川に流されてその場を逃れたナルは、集落から迎えにやってきた戦士たちと出会ったものの、彼らはナルの言葉を笑うばかり。しかしその一人の身に、赤い三つの光点が……
地球を侵略するためでも、地球人を餌などに利用しようというのでもなく、ただ地球を狩り場と見做し、襲来する宇宙の狩人「プレデター」。ヒューマノイドではあるものの、人間とはかけ離れた容姿を持つプレデターは、しかし高度な知性を持ち、「狩り」に当たっては独自のルールと美学を持つ、ユニークな存在でもあります。
これまで1987年の第一作以来、これまで四作、『エイリアン』シリーズとのクロスオーバーを含めればこれまで六作製作されてきたシリーズは、その非常に独特で(そして使い勝手の良い)プレデターの設定もあってか、漫画等のスピンオフでは、様々な時代と場所で出現した姿が描かれてきました。
しかし本作は映画――いうなれば本編では初めての過去を舞台とする作品。しかもプレデターと戦うのはネイティブアメリカンだというのだから大いにそそられます。
何しろシリーズの第一作では、ネイティブアメリカンの兵士・ビリーが銃火器を捨て、戦化粧を施して山刀片手にプレデターにただ一人挑む(そして瞬殺される)という名場面があっただけに、そのリベンジも期待したくなるところであります。
そして本作はその期待を十二分に満たしてくれる作品でした。プレデター側の武装が、これまでに比べると少々原始的で火力的にかなり抑えめになっているのはご愛敬かもしれませんが、しかしそれだけに伝わってくるプリミティブな殺意が実にナマナマしい。
金属の矢(しかも誘導式)をメイン武器に、リストブレイドやスピアといった常連武器、さらには縁が刃物にもなるシールド――どちらかと言えば接近戦寄りの装備ですが、それで人間のみならず周囲の生物を片っ端からなぎ倒していく姿には、それだからこその恐ろしさがあります。
しかし弓矢や斧を使わせれば、コマンチ族も負けてはいません。特にナルの兄・タアベが中盤で見せる(ナルの援護があったとはいえ)一対一で繰り広げるほぼ互角のバトルは、ビリーの時の溜飲が下がった――というのは言いすぎかもしれませんが、まさしく本作ならではのバトルであることは間違いないでしょう。
(その直前に、あの名台詞が登場するのもニッコリ)
しかし――と、自分でも驚くほど語りに熱が入ってしまい、長くなったので次回に続きます。
『プレデター:ザ・プレイ』 Disney+
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