わらいなく『ZINGNIZE』第8巻 死闘決着! そして新たなる敵の魔手
不死身の魔人、いや不死身の怪物と化した風魔小太郎と三甚内の対決もついに決着。封印を解いた高坂甚内の超忍法の前に、ついに最後の刻を迎えた小太郎の胸中に去来するものは、そして高坂甚内の前に現れるのは……
ついに集結した高坂・鳶沢・庄司の三甚内の死力を尽くした攻撃に、徐々に追い詰められていく風魔小太郎。しかし自分に不死身の力を与えていた返魂樹と完全に一体化した小太郎は、山よりも巨大な、もはや怪獣としか言いようのない存在に成り果てるのでした。
これに対して、ついに七十二の五右衛門忍法のうち「ぬばたま」の封印を解く高坂甚内。マイクロブラックホール斬ともいうべきこの超忍法の前に、さしもの小太郎の巨体も崩壊し……
という超絶決戦もほぼ決着し、あれだけ怖れていた死を待つだけとなった小太郎。彼の心に去来するのは、戦の中で自分の名を残せなかったことの悔恨――いや自分の名が、存在が忘れ去られることの恐怖でありました。
そしてそれに対する高坂甚内の答えは、これは定番といえばそうかもしれませんが、しかしこの戦いを締めくくるには相応しいものと感じます。そんな高坂甚内の想いを受けて、ついに消え去る小太郎――常に己の心のままに、自由に生きたいと願いつつも、何かに縛られ続けていた男の最期であります。
と、物語冒頭から高坂甚内の前に立ち塞がってきた最強最大の敵が消え、もはや物語はエピローグモード、戦いの中でかなりいい感じになった甚内とお菊さんが結ばれてめでたしめでたし……
というにはまだページ数が残りすぎている、と厭な予感がしてきたところに現れたのは、小幡道牛(勘兵衛)であります。
これまで風魔小太郎の傍らにありながらも常に不穏な動きを見せ、特に高坂甚内に、彼の五右衛門忍法に異常な執着を見せていた道牛。その彼が、高坂を待つお菊の前に現れ、彼女を捕らえて……
本作のヒロインでありつつも、いや、本作という伝奇バイオレンス漫画のヒロインであるからこそ、これまで幾度となく大変な目に遭わされてきたお菊。そんな彼女も、紆余曲折を経てようやく幸せを手に入れることができる――というその目前で、最大の不幸が襲うことになります
正直なところ、この辺りの展開は非常に辛い、というより――特に道牛がお菊に術をかけるシーンなどは――胸糞なのですが、もちろんこれで高坂甚内が怒らないはずがありません。
ヤンデレっぷりを全開する(いや本当にあの言い草はひどすぎて逆に笑ってしまう)道牛に対して高坂甚内も怒り全開、これでもかとボッコボコにして――と思いきや、ここで恐るべき力を発揮する道牛。と思いきやさらに……
ここにきて新たなプレイヤーが現れ、いよいよますます混沌としていく物語。次巻からは京に舞台を移しての第二部がスタートとのことですが、はたして風魔小太郎のインパクトを超える敵が登場するのか? その点も含めて、何が飛び出すかわからない物語に期待したいと思います。
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