「週刊現代」誌で赤神諒『友よ』の書評を担当しました
本日発売の「週刊現代」2023年1/14・1/21号の「日本一の書評」欄で、『友よ』(赤神諒 PHP研究所)を紹介いたしました。昨年12/8に発売されたばかりの、長宗我部信親を主人公とした歴史小説です。
長宗我部といえば、土佐の雄・長宗我部元親、あるいは関ヶ原・大坂の陣で戦った盛親が浮かぶかと思いますが、本作の主人公となるのは、元親の嫡男にして盛親の兄――父から将来を嘱望され、信長からその一字を授けられたという傑物であります。
しかしながら信親は秀吉の九州平定の際、戸次川の戦いにおいて島津と激突した末に二十二の若さで命を落とし、それ故にか知名度はあまり高くない人物といえます。
(正直なところ、信親を主人公に据えた長編は、本作くらいではないでしょうか)
本作はその信親の死の直後から始まり、そこから時間を遡って、彼の初陣から戸次川までを描くことになります。そこで描かれる信親は、どこまでも熱く颯爽とした「好漢」と呼ぶに相応しい青年なのですが――と、詳しくは記事をご覧いただければと思います。
(ちなみに本作はある意味大友家最後の戦いである薩摩との戦いを描く物語でもあり、作者の大友サーガの一つでもあります)
なお、一点だけ補足しますと、本作は戸次川の戦いが描かれるということで、その時に豊臣側の総大将であった仙石秀久が、かなりの分量を割いて描かれることになります。これがまあ、本当に読者としては絶許案件なキャラなのですが――しかし本作においては、主人公のネガというべき存在として描かれている印象があります。
信親が我々の理想であるとすれば、久秀はある意味で我々の象徴なのではないか――紙幅の関係で書けませんでしたが、そのようなことも感じた次第です。
何はともあれ、これまで人を信じ、人のあるべき姿を追い求めてきた者たちを描いてきた作者らしい名品を紹介する機会をいただき、私としても大変嬉しいお仕事でした。どうぞよろしくお願いします。
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