『REVENGER』 第六話「Adversary Advent」
町を歩いているところに何者かの襲撃を受けた雷蔵。折しも漁澤に呼び出された幽烟は、唐人街の者たちが松峰殺しの下手人を捜していると聞かされる。自ら唐人街に乗り込んだ末に劉大人なる人物に捕らえられ、激しい拷問を受けながらも情報を得ようとする雷蔵。一方、幽烟たちも雷蔵救出に動き出し……
物語の方もそろそろ折り返し地点ですが、はたして大きな動きを見せることとなった今回。その動きのきっかけとは何かと思いきや、第一話で描かれ、雷蔵が利便事屋に加わることとなった阿片にまつわる事件が、まだ解決していなかった――という展開であります。
以前店番をした絵草紙屋からは絵の才能を激賞され、惣二とは何となくいいムードとなり、少しずつ前に光が見えてきた雷蔵ですが、しかしそこに謎の刺客が――それもかなりの腕利きが襲来。一方、かいまき与力・漁澤に呼び出された幽烟の方は、相変わらずあからさまに匂わせてくる漁澤から、唐人街が不穏な動きを見せていることを教えられた上、長崎会所との関係もあって奉行所は動きが取れないから誰か情報を探ってくれるといいなー――と押しつけられ、と相変わらずテンポ良く進んでいきます。
しかし正攻法ではとても唐人街の探りは無理――というわけで、チェスト唐人街と乗り込んでいった雷蔵の前に現れたのは、いかにも黒社会の大物/達人っぽい空気を漂わせる男・劉。俄然原作者のホームグラウンドという感じですが、文字通り目にも留まらぬ早さで雷蔵を昏倒させ、キャストも平川大輔と、この先の強敵になることは間違いないでしょう(公式サイトのキャラ紹介にも載ったし……)
そしてもう一人、別の意味で強敵になるであろう男も登場します。こちらは劉と結んでいるらしい長崎会所の幹部・宍戸――まだ若い優男ですが、庭の池にピラニア(たぶん)を飼っている危険な香りのする奴、キャストも岡本信彦となかなかであります(公式サイトの(以下略))
と、ここで漁澤の口にも上った長崎会所ですが、簡単に言ってしまえば、長崎での海外貿易をほとんど一手に取り仕切る商人の集まり。幕府には運上金を収め、また形としては長崎奉行の下にあるものの、まあその財力だけでなく権力の大きさたるや、推して測るべしであります。ちなみに史実では、長崎貿易に乗り込んできた薩摩と微妙な関係にあったわけですが――本作においても、やはり阿片を巡って微妙な関係にある模様であります。
そして今回雷蔵が襲撃を受けたのも、冒頭に述べたとおり阿片のため。第一話で雷蔵に利便事された薩摩藩の勘定奉行・松峰が、唐人街から買い付けた大量の阿片――それの行方がいまだわからないために、雷蔵が捕らえられ、拷問されることになった、という寸法であります。
さて、敵の正体も、事の次第もわかれば、あとは利便事のみ――とならないのが今回の面白いところ。つまり今回は誰からも利便事を求められていないわけで、掟から殺しをするわけにはいかない――というのは、なるほど納得の縛りではあります(ある意味、前回鳰が語っていたような立場に利便事屋自体が置かれているというのもなかなか面白い)。
とはいえ、雷蔵から自分たちに累が及びかねない――というわけで雷蔵救出作戦がスタート。梁山泊水泳部みたいに舟を襲う徹破(まさに水を得た海賊)、殺さない程度に金箔責めにしたりと意外と器用な幽烟、そしてドタバタしながら相手の首を絞める不器用な惣二――彼らに助けられた雷蔵がもたらした情報から、利便事屋たちは自分たちが長崎を巡る巨大な力の狭間に置かれたのを気付くことに……
と、時代ものとしてみると結構な大事ながら、時代アニメとしてみると結構地味な展開となってきましたが、同じ裏社会の住人でも、大きくその行動原理の異なる者同士の激突という展開は盛り上がるものがあります。特に唐人街は劉大人をはじめ、強敵には事欠かない印象で、後半戦に向けての盛り上がりに期待したいと思います。
しかし今ごろになって感心しましたが、この世界にはオランダは存在しているのですね。ということはアンゲリアという国はやはり……
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関連サイト
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記事
『REVENGER』 第一話「Once Upon a Time in Nagasaki」
『REVENGER』 第二話「Gold Opens Any Door」
『REVENGER』 第三話「Fortune is Fickle and Blind」
『REVENGER』 第四話「Ask, and You Shall Receive」
『REVENGER』 第五話「Love Never Dies」
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