「コミック乱ツインズ」2023年5月号(その三)
「コミック乱ツインズ」の最新号、2023年5月号の紹介のラストであります。
『凛九郎』(玉彦)
特別描き下ろしで登場したチャプター2は、前回、妻の形見の馬を殺された報復に悪代官一家を皆殺しにした元御庭番・凜九郎がさらなる修羅の世界に巻き込まれる姿が描かれます。
愛刀の行平修羅刻を手に江戸に現れ、刀職人の義弟・義親に預けた凜九郎。しかし義親は何者かに斬られて行平は奪われ、激怒した凜九郎は、自分をも襲ってきた一団を相手に大立ち回りを演じるのですが――その陰にいたのはかつての古巣・御庭番。はたして御庭番の狙いは……
「舐めていたおっさんが……」パターンであった前作とは異なり、今回は最初から正体が明らかになった中で凜九郎が繰り広げる戦いを描く本作。舞台は江戸、そして相手もプロということで、より派手な戦いが繰り広げられることになります。
その一方で明かされる凜九郎の思わぬ素性(?)にも驚かされますが、何よりも凜九郎以上に印象に残るのは今回の黒幕の存在感。策を得々を語った後の妙に潔い最期など、不思議な味がありました。
『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』(重野なおき)
地味に強敵である三村家親に対し、日本史上初の鉄砲による暗殺を狙う直家。そしてその大任は、鉄砲の名手であり、家親の顔を知る遠藤又次郎・喜三郎兄弟に委ねられることに――というわけで、今回のメインとなるのはこの遠藤兄弟。直家が主人公の作品は数あれど、遠藤兄弟のメイン回があるのは、間違いなく本作くらいのものでしょう。
しかし鉄砲による暗殺は下準備が大事というのは、ジャッカルの昔から変わらない事実。なかなか機会を掴めずに遠藤兄弟が焦る一方で、家親は進撃を開始してしまいます。ここで見た目と言動で損しているけど実はいい奴の家親がやたらとおかしいのですが……
遠藤兄弟だけでなく、その周囲の様々な思惑が絡み合う中、いよいよ次回暗殺決行でしょうか。
『カムヤライド』(久正人)
タケゥチとノツチ、二人の助っ人(?)の助けによって、三対三にまで持ち込んだモンコ・ヤマトタケル・オトタチバナ。一対一であれば天津神が相手でも互角以上に戦ってみせる三人ですが、しかし天津神側もその実力は伊達ではなく――というわけで、いよいよ今回、その反撃が始まることになります。
異形の相手の攻撃を生身で、体術のみで完封するという、伝奇ものファンの大好物のムーブを見せてきたタケゥチですが、しかしその技を覚えて逆襲に転じるアマツ・ダンサント。技が同じであれば力で勝る方が勝つのは道理ですが――ここでこれまた皆大好きムーブを決めてみせるタケゥチは、あんな顔と態度でバトル漫画の定石を心得た、まことに心憎いヤツと言わざるを得ません。
その一方で、カムヤライドと天薙剣にそれぞれ追い詰められたアマツ・ノリットとミラールは、それぞれ真の姿のそのまた先の姿を――と、天津神たちすら恐れる、思わぬ事態が発生。
文字通り捨て身となった二人のうち、今回のメインとなるのはアマツ・ノリット。まさかまさに今戦っている相手とも知らず、かつてモンコにかけられた言葉に奮起したノリットと、その覚悟を真っ向から受けて立つモンコの戦いは、音速を超えた決戦に……
はたしてこの戦いがどのような結末を迎えるのか――今回のラストを見るに、またもや地獄の予感がしますが、さて。
次号は表紙が『鬼役』で巻頭カラーが『勘定吟味役異聞』。特別読切で『口八丁堀』が三度登場であります。また、『文明開化めし』は最終回です(三吉が社長にまでなるとは――ある意味一番意外なラストかもしれません)
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