『地獄楽』 第1話「死罪人と執行人」
数々の死罪に処されながらも超人的な肉体で生き延びる元・石隠れ衆の忍「がらんの画眉丸」。しかし画眉丸の前に現れた打ち首執行人・山田浅ェ門佐切は、一切を投げたような彼が妻を愛し、そのために生き延びようとしていると指摘する。そして佐切は、画眉丸に無罪放免となる方法があると語るが……
原作の連載完結と同時にアニメ化が発表されてから早二年、ようやくアニメ版『地獄楽』の放送がスタートされました。このブログでも『地獄楽』は連載開始時から注目し、原作はもちろんのこと、関連書籍も追いかけてきましたが、当然アニメ版も楽しみにしておりました。
そして放送されたこの第一話は、原作の第一話のほぼ忠実なアニメ化というべき内容。いかにも本作らしい毒々しいまでにカラフルなオープニング(しかしこのOPや事前情報を見るに、第一期は追加組到着の辺りまでなのだろうな……)も印象的でしたが、やはりアニメで改めて見ても、この第一話の構成には感心させられます。
打ち首をはじめとして様々な処刑方法でも尽く生き残る画眉丸の姿と、彼が無気力に語る自分の壮絶な来歴。そしてそんな彼が初めて命の危機を覚える佐切との対峙と、打ち首執行人だからこそ佐切が見抜いた彼の嘘、そしてそこから彼の本当の感情の爆発と、死罪人による神仙郷の探索(デスゲーム)という物語の骨格の提示――と、次から次へとこちらの目を奪うような事実・展開を繋げつつ、クライマックスの盛り上がりの中で、画眉丸の目的と物語のゴールを連結させて見せるというのは、やはり巧みとしか言いようがありません。
正直なところ、先に述べた通りアニメの方はこの原作に忠実であって、そういう意味ではサプライズはないのですが、原作での佐切の
「ちなみに奥様はまだ石隠れの里にいます」
という台詞が
「私がこちらに向かう際、奥様はまだ石隠れの里にいると聞きました」
と変わっているのにはニヤリとさせられましたし、画眉丸が初めて見せた忍法の炎が、いかにも作者のカラー原稿的な色合いだったのには素直に感心したり――と、細部に神経を配っている点は好感が持てます。
あとは今回はまだ鉄面皮だった佐切が素の感情を出すとき、どのような声となるのかが気になるところですが、そちらの方も期待したいと思います。
ただ、モブのお役人さまたちの作画だけ異常に浮いていたのだけは、こう――メリハリというものはあるのだと思いますが、ちょっと作品への没入を妨げるレベルだった気が……
(あまりユルくなると『じごくらく』になってしまうのでは)
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