『るろうに剣心』 第一話「剣心・緋村抜刀斎」
明治11年の東京を騒がす辻斬り「人斬り抜刀斎」。自分の流派・神谷活心流を騙る抜刀斎を追う神谷薫は、ある晩、帯刀している男と出会い誰何するが、男は「流浪人」緋村剣心と名乗る。その後も一人抜刀斎を追い、ついにその正体を突き止める薫だが、思わぬ魔の手が迫る。その時、薫の前に現れたのは……
あの『るろうに剣心』のアニメが令和の世に復活しました。復活といっても原作は『北海道編』を連載中なのですが、今回のアニメはこちらではなく、原作の一番最初から再アニメ化――ということで、第1話の今回は、ニセ抜刀斎騒動の最中に薫と剣心が出会うというくだりからのリスタートとなります。
考えてみればこの第1話に当たる部分の原作が発表されたのは1994年、実に29年前(!)で、もう視聴者の大半は生まれていないのではとすら思うほど以前であります。それから今に至るまでに、『るろうに剣心』の始まりの物語自体、原作・最初のアニメ版・映画版・銀幕草紙変(小説)・特筆版(漫画 別名キネマ版)・宝塚版とあったわけで(もしかするとまだ抜けがあるかもしれません)、もちろん内容はそれぞれ異なるものの、これだけ様々語られてきたものが、今改めて、というのには、ある種の感慨があります。
そして今回のアニメ版は、これら様々な始まりの物語の中でも、最も原作に忠実な内容――最初のアニメ版ではカットされた喜兵衛も、原作通りの役回りで登場しております。(しかしこのキャラ、弟とワンセットの印象が強いため、今回見たときは「あれっ、ここで登場するんだっけ!?」という印象が……)
ビジュアル的にも綺麗な絵柄、声優の演技もまず違和感なしと、原作ファンが期待する、原作そのままのアニメ化を今のクオリティで行ったという印象があります。
とはいえ、それが今の視聴者にどれだけインパクトを残すかというのは――私も昔からの原作ファンだけに――ちょっとわからないというのが正直なところではあります。
原作の第1話自体、綺麗にまとまっているといえばその通りなのですが、『るろうに剣心』という作品の一般的イメージであろう、超人的な達人同士のバトルという点からするとかなり地味な内容に映るのは否めないでしょう。(また明治ものとしての描写についても、廃刀令への言及はあるものの、この回はそこまで強くありません)
この辺りは、最初から連続2クールが決まっている余裕という印象もありますが、個人的には、次回以降はもう少しスピードアップしてもいいかな、とは感じます。
また、今回は雑魚相手がほとんどではあったとはいえ、肝心の剣戟シーンの迫力が今ひとつだったのはどうにも惜しい。こういう場面こそ、今のクオリティを活かしてほしいと強く思います。
ちなみに今回の冒頭には、幕末に剣心――いや抜刀斎が新選組と対決し、沖田総司そして斎藤一と対峙するシーンが描かれています。総司はまあゲストですが、斎藤一はこの先物語に大きく関わる(というか今回のアニメの中ボス格?)だけに、ここで描いておくのは良いアレンジかと思います。
ただベタなリアクションで恐縮ですが、日野聡が日本刀を持ったキャラを演じているとどうしても別のキャラが浮かんでしまうので、その辺りのイメージの払拭は、今後の出番に期待したいと思います。
関連サイト
公式サイト
| 固定リンク