『るろうに剣心』 第二話「東京府士族・明神弥彦」
街で剣心から財布をスリ取った少年・明神弥彦。剣心は盗まれた自分が悪いと財布を渡すが、弥彦は施しに反発し、姿を消す。その後、買い物に出た剣心は廃刀令違反で警官に取り巻かれるが、そこに現れた剣客警官隊は、駆けつけた薫や群衆にまで刃を向ける。ついに逆刃刀を抜いた剣心は……
タイトルは原作第三幕の「東京府士族・明神弥彦」でありつつも、実は内容は第二幕の「流浪人・街へ行く」がメインとなっている今回。弥彦のエピソードは冒頭とラストのみで、その後に剣心と剣客警官隊との対決が展開するという構成になります。
しかし前回の比留間兄弟は原作で何度か登場したので覚えていましたが、今回の敵である剣客警官の宇治木は、さすがに今回見返すまで完全に忘れていたキャラクター。絵に描いたような「維新でに調子に乗った薩摩の芋野郎」でありますが、キャラクターデザインが、微妙に今の作者が描いたらこうなるであろうものとなっているのが面白いところです。もっともこれはこのキャラだけでなく、今回のアニメ版のキャラ全般に当てはまるわけですが、そのせいか今回の弥彦、もの凄くサンライトハートな感じが……(今年で早くも二十周年と知って大ショック)
しかし今回のエピソード、山県有朋との再会のくだりをどうにかすれば、正直なところカットしてもよいのでは? と思ったりもしましたが、改めて観てみると前回は民(中国ものでいえば江湖)の暴力と、今回は官の暴力と剣心が対決しているわけで、民だろうが官だろうが、立場や主義主張(後者はむしろこの先の敵に当てはまりますが)にかかわらず、暴力で庶民を苦しめる相手には敢然と立ち向かうという、剣心のスタンスがここでは現れていると気付きます。
もちろんこれはヒーローであれば当たり前のスタンスではありますが、今回の山県の会話に表れているように、剣心に「歴史的な」背景があるからこそ、それは描いておかなければいけなかったのでしょう。そしてそれがあるからこそ、「剣一本でもこの瞳に止まる人々くらいならなんとか守れるでござるよ」という宣言が光るのだと思います。
(しかしまあ山県有朋も、この後に剣一本で国家を転覆させようとか、戦争のための兵器を自称する連中がゾロゾロ出てくるとは思わなかったでしょうが……)
さて、剣客警官隊ですが、原作にはなかった流派名を名乗って打ちかかっても剣心に敵うはずもなく、当時の少年漫画としては珍しかったような(しかし今この時代に薫殿にわざわざ紹介してもらうのも――という)気がする示現流の宇治木も、剣心の超滞空からの一撃であっさりダウン。
まあ、維新志士と意気がっていても、対空技を使えない時点でザコなわけですが……
さて、ここから弥彦のエピソードを終わらせるのかと思いきや、まさかの弥彦がヤクザにボコられたところで終わり。さすがにじっくり描き過ぎではないかなと思いますが――弥彦が冒頭のやりとりだけでなく、剣心と剣客警官との戦いを目撃していたことで変心するという描写は(そこに原作にない、財布を落とした老女に財布を拾ってやるという描写も加わって)なるほどと思いました。
それにしても次回「活心流・再起動」というサブタイトルということは、やはり菱卍愚連隊もきっちり登場するのでしょうか……
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