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2023.07.24

『るろうに剣心』 第三話「活心流・再始動」

 剣心の姿に心を動かされ、スリから足を洗う決意をした弥彦は、ヤクザへの上納金を断り袋叩きにあう。しかしそこに現れた剣心はヤクザたちを圧倒、弥彦は神谷道場に身を置くことになる。薫に反抗的な態度を示す弥彦だが、そこにかつての道場の門弟たちが、菱万愚連隊に追われて逃げ込んできて……

 前回は「東京府士族・明神弥彦」というタイトルながら、ほとんど冒頭とラストのみの登場で続く、となって驚きましたが、今回は前半で原作第三幕の弥彦のエピソードの残りを、後半で続く第四幕の内容を描くスタイルとなります。

 その前回、剣客警官隊の横暴から町の人々を守るために立ち上がった剣心の姿を目の当たりにし、そこに自らの理想とする「士族」の姿を見たのか、ヤクザに逆らった弥彦。しかしそのために子分もドン引きの制裁を受け――というところから始まる今回ですが、彰義隊に加わったという弥彦の父の後ろ姿が描かれたほかは、基本的に原作とほぼ同じ。
 集英組組長の下品な刺身の食い方も同じで、当然ながら弥彦が人斬りヤクザに文字通り噛み付いたり、そのヤクザが天井アッパーでめり込んだりというところも(ビジュアル的にはアニメのほうが痛そうであるものの)ほとんど同じでしたが、剣心が瞳孔小さくした人殺しの目で凄むシーンは、今のビジュアルになっていたのは、これはまあ仕方ないでしょう。

 そして自らの弱さに悔し涙を流す弥彦を、神谷道場に放り込む剣心ですが――しかし居候とはいえ剣心を家事全般にこき使う薫も薫ですが、入門希望者をあっさり追い払ったり、弥彦を勝手に連れてきたりと、剣心も剣心で、結婚生活は大丈夫だったのかしらん、と随分先のことを心配してしまったり――それで弥彦が素直に入門するはずもなく、散々反抗的な態度を取っていたところに、かつての門下生二人が菱万愚連隊に追われてきて、というところで今回と同じサブタイトルの原作第四幕の内容に突入であります。

 こちらも驚くほど原作通りの内容ですが、菱卍愚連隊だったのが菱万愚連隊になっているのは、色々とややこしいアレコレがあるということなのでしょう。一方、道場に逃げ込んできた元門弟を追いかけてきた愚連隊の二人を薫が竹刀で倒す場面は、原作では交錯した一瞬で倒すという中抜きの描写だったのが、きちんと剣術をしていたのは、好印象であります。
 また愚連隊の隊長・蜂須賀を演じた檜山修之は、熱血系だけでなく様々な役柄もこなす芸達者な声優らしいところをみせて、ヒャッハー系の暴力男を実に楽しそうに好演。特に、頼みの木砲の砲撃を剣心に切払いされて退却する時の腰砕けっぷりは、絶品であったかと思います。
(どうも本作は、メインは比較的若い声優、脇はベテランという配置なのか、第一話の比留間兄弟も、出番は少なくとも印象的でありました)

 と、原作との違いばかり触れてしまいましたが、改めてこのエピソードを観ると、事件の元凶である元門下生たちに、もう二度とここには近寄らず、剣にも手を出すなと抜刀斎がまだ残った顔で語った後で、誠意を尽くしても通じない相手はいると薫に語りかける剣心の姿が――幕末生き残りのシビアな人間観が窺える気がして――印象に残ります。
 もっともそれに対して、弥彦が薫に(道場に一礼して入るシーンはナイスアレンジ)弟子入りすることで、剣心の言葉に対する「現在」の人間からの返答となっているのは、この時点で、物語の一つの帰結である「弥彦の逆刃刀」での弥彦の姿が予告されていたようで――というのはもちろん後付けの感想なのですが――興味深いものがあります。


 さて、エンディングのキャストで、本編に出ていないはずの男がいると思いきや、Cパートでついに左之助が登場。原作同様、喧嘩相手を軽々とぶちのめしての顔見せですが――ここでぶちのめされているのが蜂須賀。またお前かい! と思わずツッコんでしまう再登場でありました。


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