『アンデッドガール・マーダーファルス』 第9話「人狼」
人狼を狙うモリアーティたちを追い、ドイツの山奥の村・ホイレンドルフを目指す<鳥籠使い>一行。しかしそこでは一年ほど前から少女たちが人狼に殺される事件が相次ぎ、昨日もルイーゼという少女が自分の部屋で人狼に襲われ行方不明になっていた。早速調査を始める鴉夜たちだが……
いよいよ今回からアニメ版の最終章であろう「人狼編」がスタート。オープニングに登場していた賑やかなメンバーの大半が登場しなくなってしまうのは寂しい限りですが、ミステリの濃度としてはこれまで以上のエピソードだけに、期待は高まります。
その第一回である今回は、原作の冒頭にあった津軽の列車強盗十四人抜きや、ホームズとロイズのエージェント二人との対峙はばっさりカット。(もしかすると後者は次回触れられるかもしれませんが)色々と面白いシーンだっただけ勿体ないところではあるものの、テンポを考えれば<鳥籠使い>たちの登場シーンからスタートするのは正解でしょう。
(個人的にはまたホームズが割りを食わされた感もありますが、ここはここで負けイベント感があるので、まあ……)
それはさておき、今回は冒頭から津軽の長弁舌は絶好調。アルプスで落語の「愛宕山」を演るというのも愉快ですが(鴉夜のツッコミもごもっとも)、その後の鴉夜による人狼の説明に、高座に上がった津軽と(何故か)静句のやりとりを被せてみせるのはお見事というほかありません。
特に後者はアニメオリジナルの演出ですが、こういう見せ方はアニメでなければできないもので、大歓迎であります。
そしてそこから流れるように事件に巻き込まれ、毎度毎度の生首騒動を経て捜査開始――とテンポ良く進んでいきますが、ここで語られる過去一年間の事件はかなり凄惨なもの。そして丹念に鴉夜が捜査する本題の事件も、なるほど人狼が起こした事件を丁寧に描けばこういう描写になるのか、と感心させられるのですが――勘の良い方であれば、既に今回の時点でこの事件の真相には気付いているかもしれません。
しかしどう考えても、今回提示された謎を解けば、それだけで終わるとは思えません。そもそも鴉夜たちの目的である<牙の森>にもまだ解かねばならぬ謎があるようですし(村長の素っ頓狂なリアクションが実に可笑しい)、アバンタイトルで描かれたホイレンドルフ村で八年前に起きた事件も当然これから絡むでしょう。
というより事件の全体像自体まだまだ――というのはさておき、大体今回の内容は原作の一、二割程度。まだまだ登場人物も出揃っていない状況であr、次回以降も楽しみは尽きません。
ちなみに今回、鴉夜のある台詞が原作と少々変わっていたのが興味深かったのですが――変わっていたといえば原作では白かった津軽の枕が、何ともトンチキなものに変更されていたのも楽しいアレンジでした。
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