『アンデッドガール・マーダーファルス』 第6話「怪盗と探偵」
大胆不敵にもホームズに変装してベーカー街に現れ本人と言葉を交わすルパン。その帰路、ルパンは<鳥籠使い>一行と遭遇、格闘で津軽をKOして姿を消すのだった。そして予告時間が近づき、フォッグ邸でそれぞれ配置につく探偵たち。思わぬ方法で「鍵」を封じるホームズだが、ルパンの打った手は……
タイトル通り、ルパンとホームズ――特にルパンが主役といってもよい姿を見せる今回。二人とも有名人だけに、前回顔を見せられただけでもう色々と納得してしまっていましたが、本作における二人の姿が、ここでより詳しく描かれることになります。
特に冒頭のシーン――ベーカー街に訪ねてきたワトスンに気づかれることなく、堂々とホームズとして応対するルパンは(これはファンの欲「耳」ではないと思いますが)本当に微妙に喋りを若っぽくする芸の細かさで、変装の名人ぶりをアピールするのがたまりません(そこで変装を見破るのがマイクロフトというのもうれしい)
そして続く二人の出会いは、ついにルパンが(エルロック・ショルメではなく)本物のホームズと対峙、しかもホームズのホームグラウンドであるロンドンで――と、ファン以外はよくわからない感慨を抱かせる、らしさ横溢の名場面。もうこれだけで今回の元は取った(?)という気分になりますが、しかし紳士的にその場は別れたものの、後で振り返ってみると、既にこの時点で二人の戦いが始まっていた――というのもまたグッとくるところであります。
しかしルパンの活躍はこれで終わらず、「鳥」違いという津軽の小咄みたいな展開で行方不明になった鴉夜を追う騒動(鴉夜のあのシーンはアニメでどう描くかと思いきや、なるほどこういう演出にするのね、と納得)にそうとは知らず加わった末に、津軽と対決することに――なるのですが、ここでビー玉を用いた謎のアクションを見せるルパンが面白い。
正直なところ、ここまでくると技というより異能というビジュアルになってしまっていますし、津軽と正面から打ち合うのはやりすぎ感がありますが、しかしルパンが単なる気障な変装野郎ではないと、ここではっきりと示しておくのは意味があることでしょう。尤も、ルパンのキラキラアッパー(で絵に描いたようなダウンを喫した津軽も、まだまだ本気を出しているとは思えないわけですが……
そんなわけで、もうここまででも満足してしまいそうな場面の連続なのですが、物語の本筋はこれから。予告の時間にフォッグ邸に集まる探偵たちと警備陣に、あのガニマール警部まで加わり、問題の金庫が置かれた余罪の間には、フォッグ氏とパスパルトゥー、ホームズとワトスン、レストレード、ガニマールが詰めて――と、定番の展開ではありますが、やはり盛り上がります。
ところがそこで定番ではないとんでもないことを(しかしきっちりと伏線は張った上で)仕出かすのがホームズという人物。ガニマール以外は完全にあたおかな人を見る視線でホームズを見る中、ついに訪れた予告時間に起きたのは――これはルパンというよりむしろ二十面相なのでは、という気がしないでもありませんが、いきなりホームズは敗北、そして<鳥籠使い>は見当違いな場所に――と、いきなり探偵サイド敗北か!? という絵に描いたようなクリフハンガーで次回に続きます。
と、普通に紹介してしまいましたが、原作と読み比べてみると、今回もディテールはかなり省いていることに気付かされますが――気付かされますというのは、あくまでも本筋自体は原作に忠実に、省いても通じる部分はバッサリとやっているために、ほとんど違和感を感じないからにほかなりません。
細かいことを言えば、シャーロキアンであればニッコリだったワトスンの「ノーバリ」がカットされたり、上で触れたルパンvs津軽のルパンならではのアクションが改変されていたり、終盤のクライマックス直前に警官を襲撃するファントムのくだりがカットされていたりするのですが――しかしその分、物語がテンポ良く、情報過多にならずに展開しているのは、やはりこのアニメ版ならではの長所だと、改めて感じた次第です。
(しかしこのアレンジのおかげで、津軽戦でのファントムの行動が、原作に比べるとルパンと異常に息が合って見えるのが面白い……)
『アンデッドガール・マーダーファルス』Blu-ray BOX(Happinet) Amazon
関連記事
『アンデッドガール・マーダーファルス』 第1話「鬼殺し」
『アンデッドガール・マーダーファルス』 第2話「吸血鬼」
『アンデッドガール・マーダーファルス』 第3話「不死と鬼」
『アンデッドガール・マーダーファルス』 第4話「真打登場」
『アンデッドガール・マーダーファルス』 第5話「倫敦の不死者」
| 固定リンク