『アンデッドガール・マーダーファルス』 第11話「狼の棲家」
人狼との戦いで滝に落ちた静句。人狼の村に流れ着いた彼女は、ノラ・ヴェラ・カーヤという三人の人狼の少女に匿われる。実はこの村でも、四ヶ月に一度、少女たちが銃で殺されていると知る静句だが、他の人狼たちに見つかり、犯人として人狼たちの儀式にかけられる。しかしその最中に銃声が……
冒頭とラスト以外、ほぼ全て静句が出ずっぱりの静句回となった今回。舞台は人狼の村へと移りますが、そこでも連続殺人(殺人狼)事件が――と、物語は意外な様相を呈することになります。いわばここからは起承転結の転といったところ、ミステリとしての本作は、ここからがいよいよ本番であります。
と、その静句は前回ラストに鴉夜を助けるために川に落ち、そのまま滝壺まで流されたわけですが――そこに行き着くために数々の苦労を重ねた人狼の村に流されたのは、幸運というべきか不運というべきか。何しろ人間の村で人狼を見つけ次第殺そうとしているのと同様、人狼の村でも人間即殺すという状況なのですから。
もちろん、種族的に不幸な過去もあるのでしょうが、いまその最大の理由は、四ヶ月毎に、雨の晩に人狼の少女が殺害されているという連続殺人が起きているからにほかなりません。まるで人間の村で起きているのと表裏一体、無惨な死体となって発見されるのは同じで、異なるのは爪で引き裂かれているか、散弾銃で撃たれているかという点のみですが――静句ならずとも、二つの連続殺人の関係が気になるところであります。
(特に被害者たちのビジュアルを見てみると……)
なんとなく初めて描かれたような気もする静句のメイドスキルでティータイムとなり、その場も雰囲気も少し和みましたが(しかしこの辺りで原作にあった「掟」に対する静句とノラの会話がカットされていたのが残念。何気に大きな意味を持つ内容だったので……)、しかし事件は続きます。ここまで人間と人狼、二つの村での事件が符合するとすれば、もう一つ――と不吉なことを思っていたらその予感は当たり、今度はノラが射殺された姿で発見されたのであります。
折よくなどとは間違えても言えませんが、その時は色々あって村の人狼たちに存在が露見した静句が、原作以上の大立ち回りの末に捕らわれ、尋問とは名ばかりの無茶苦茶な儀式の贄にされかかっていた真っ最中。当然これ以上のアリバイはないわけですが、これで疑いが晴れてああよかった、なるはずもありません。
ここは自分が鴉夜様の代わりに探偵役を――と頑張って推理する静句ですが、さすがに鴉夜のようにはうまくいかず、しょんぼりするばかり……
という状況で鴉夜と津軽がどうしていたかといえば、ロイズのエージェントとともに、いまいちわかりにくい感じで現れた<牙の森>を追って、津軽が小咄(これが声の使い分けがお見事)などやりながら細い山道を歩いていたら、上からとんでもない質量弾が――という感じで、冒頭とラストのみの登場。
残すはわずか二回、はたしてここから首尾よく静句と合流し、<夜宴>やロイズや人狼たちと戦いながら、人間・人狼合わせて計八件もの殺人の謎を解くことができるのか――なんだか心配になってきましたが、さて。
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