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2023.09.09

『るろうに剣心』 第十話「動く理由」

 御庭番衆を撃退していらい平穏な日々が続き、神谷道場にも馴染み始めた恵。しかしそんなある日、恵の前に現れた観柳は神谷道場に火をつけると脅迫、恵は置き手紙を残して観柳の元に向かう。しかし恵の態度に不自然さを感じた剣心たちは観柳邸に向かい、私兵団たちを突破して邸内に突入する……

 前回、御庭番衆の刺客を撃退して恵の素性とこれまでの行動の理由も判明――と、一段落ついた感もある展開も受けて、冒頭で描かれるのは、すっかり道場の居候四号として違和感ない恵の姿。前回も触れましたが、このエピソード当時の原作の絵から一番離れたキャラクターデザインのためか、恵もすっかり柔らかい人物になった印象で、そんな彼女を阿片女と小学生並に直球のあだ名で呼ぶ左之助が困った人間に見えます。(そんな左之助の心情をいちいち解説してくれる剣心はいいやつ)

 しかしそんな恵を貸本屋に変装した般若を使って呼び出し、ネチタラ迫るくだりでは、観柳は今までの悪役とは違う一種のクレバーさを見せます。阿片作りに手を染めた過去を挙げ、親族に会いたいという恵の未来の望みを潰した上で、現在彼女が身を寄せる神谷道場に迷惑がかかるという、現在過去未来三段構えの脅迫で、自ら恵が道場を去らざるを得ない形に追い込む辺りの厭らしさはさすが――というか、これも前回触れましたが、やはり観柳はネタキャラ扱いするにはちょっと洒落にならない悪質さを感じさせます。
 しかし御庭番衆もこの観柳の命令に基本的に従っているわけで、この先色々と事情は語られはしますが、この時期の蒼紫も大概タチが悪い――という印象は否めません。
(後半、観柳から結構やな感じで殴る蹴るの暴力を振るわれる恵を平然と見ていたりとか)

 そんなわけで形の上では自主的に去るという内容の手紙を残して去った恵ですが、しかし剣心は速攻で背後事情まで見抜く観察眼を発揮。仮に見抜いたとしても、わざわざ恵を追いかけて動く理由がない――と観柳は考えたでしょうし、左之助もその通りのことを言うわけですが、そこで動くか動かないかがヒーローかどうかの分かれ目であります。

 剣心――というより抜刀斎顔で恵の心情を教えられて意地を張るのをやめた左之助と、前回恵に命を助けられた(というか命が危なくなったのも恵のためなんですが)弥彦と、観柳邸に殴りこむ剣心。大勢が待ちかまえているところに剣心が乗り込むシチュエーションは実は三回目なのですが、さすがに観柳邸は層が厚い。出陣しないけど小姓隊なんてものがいるくらい層が厚い(いったい何のためにいるんだ……)。
 特に今回は結構な人数の銃士隊が待ちかまえていましたが、しかし実写版でお馴染みの(って原作でもやってるよ!)ズザサッという感じの動きで剣心はよけるわ、弥彦が飛んでくるわで、やはりどれだけいても雑魚は雑魚。中抜きのアクションで私兵団を蹴散らされた上に、門灯の柱を叩き斬ってぶつけられそうになる(原作でも思いましたが、やっぱり物理的に無理がある動きでは……)と散々な観柳ですが、まあやってることは洒落にならなくとも、ムーブとしてはやはり小悪党が似合います。

 そんなわけで実際に剣心と左之助の相手になるのは御庭番衆――死亡遊戯形式で待ちかまえる一番手は般若。いきなり実力者の登場に、剣心側は――というところで次回に続きます。


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