『明治撃剣 1874』 第壱話「東京」
時は明治七年、東京で車夫をしながら、戊辰戦争で生死不明となった許嫁を探す元会津藩士・折笠静馬。ある日、岩倉具視襲撃の疑いをかけられた彼は、数日前に乗せた士族の男・武市が犯人と睨み、一人追い始める。続いて武市一味が大久保利通を襲撃した場に駆けつけた静馬だが……
前情報なしで、しかも豪華キャストでスタートしたことで驚かされた『明治撃剣 1874』、遅ればせながら第一話の紹介であります。
冒頭、会津戦争から始まる本作ですが、主人公は会津藩で「会津の鬼殺し」という異名を取った剣の達人の青年、会津戦争で奮戦したものの、親友で許嫁の兄から妹を託され、戦乱の中で行方不明となった彼女を明治七年の今も探している――という設定であります。
そんな静馬が客として乗せた男・武市熊吉が下駄の鼻緒を切らし、代わりに下駄を買い求めたのがきっかけで、岩倉具視襲撃事件の犯人として疑われ、自分で疑いを晴らすために武市を追う――というのが今回のメインとなります。
この襲撃事件はいわゆる喰違の変と呼ばれる歴史上の事件ですが、実は武市も実在の人物。作中では博奕に入れあげた上に、後述の騒動で叩きのめされたヤクザから財布を持ち逃げするなど微妙な描写でしたが、史実では西郷隆盛らの命で、軍事探偵として中国で活動していたという過去を持つ人物であります。ここで武市の下駄が決め手となって――というのも史実通りと、想像以上に史実に絡めた内容なのにまず驚かされます。
その一方で思い切りフィクションに振っているのは、武市が顔を出していた賭場に現れてイカサマを見破った上に、仕切っていた堂山一家の面々を挑発、仲間たちと共に瞬く間に叩きのめした男――修羅神狂死郎であります。
あまりにインパクトのありすぎる名前の上に、白髪の長髪に片目に鍔で眼帯というこれまたビジュアルショックな風体、そして声は三上哲という隙のないこの男――今回は堂山一家を叩き潰すだけ叩き潰して去って行くだけで、まだまだその目的も正体も不明ですが、幻術使い・体術&苦無使い・弓術使いとこれまた只者ではない三人の配下を連れたこの人物が、本作のフィクション面を大きく引っ張っていくことになるのでしょう。
(しかし弓術使いの弓、いくら無数の矢を放つといって、喰らって一拍置いて大きく吹き飛ばされるのはさすがに(描写に)無理が……)
その他にもパークス英国公使のスパイを務める美女、謎の金毛碧眼の大人物(声が山路和弘なので)に仕える芸者に扮した謎の美女と、スパイ役の美女が二人も出てくるので最初は同一人物かと混乱した――というのはともかく、なかなか面白げなキャラクターの登場は良いと思います。
その一方で、ある意味直球の主人公タイプの静馬(もちろん彼もフィクションのキャラクターであります)が、狂死郎などに比べるとかなり地味に見えてしまうのも確かなところで、はたして彼がこの先どのくらい派手に暴れてくれるかが、物語の盛り上がりにかかっているのではないでしょうか。
今回のラストには江藤新平が顔を見せたりと、明治七年という舞台を考えればクライマックスはあの事件になるのかな、とも思いますが――まずは貴重なオリジナル時代アニメということで追いかけたいと思います。
それにしても本作、冒頭に述べたように事前情報がほとんどなかったり、エンドクレジットが全て英語だったり、色々と謎を感じさせますが――その辺りはあまり気にしないことにします。
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