« 『Ebenezer and the Invisible World』 クリスマス・キャロル後日譚!? スクルージ、メトロイドヴァニアに見参 | トップページ | 久正人『カムヤライド』第10巻 嵐の前の静けさ!? 新たなる敵の影 »

2024.02.16

『戦国妖狐』 第6話「ふこう」

 火岩の故郷に向かう途中、酒を醸す闇・猩々と出会ったたまたちは、猩々たちの友だという四獣将・道錬と酒を酌み交わす。その後、結界に包まれた村に行き当たった一行の内、一人内部に潜入したたまは、「ふこう」と名乗る闇と出会う。一方、外に残った迅火たちに四獣将・烈深が襲いかかる……

 前回ラストで神雲対策を決めた一方で、灼岩の希望で、火岩の故郷に向かうことになった一行――というわけで今回は比較的独立したエピソード集的な内容。原作では「最強剣豪伝説」「ふこう」「猩々の酒」の三話分が一回にまとめられています。
 といっても最初のエピソードは冒頭部分、真介が雷蔵から魔剣・荒吹を託された部分のみが語られて、その後の刀使いの闇・八本松剣鬼と真介の決闘はバッサリカット。八本松、何気に最後の最後まで何度も登場する面白キャラですし、真介が奮闘するエピソードではありましたが、本当に単発感の高い話なのでこれはまあ、仕方ないでしょう。

 そして前半に登場するのは、原作と順番が入れ替わって四獣将・道錬。断怪衆四獣将の一人ながら、闇である猩々たちと交誼を結び、それどころか断怪衆的にはお尋ね者である迅火たちと平然と酒を酌み交わす、色々とスケールの大きな好漢であります。
 ここで冷静に考えれば、印河と央鳳(灼岩を追っていた二人組の坊さん)以外の断怪衆と迅火たちが語り合うのはここが初めてなわけで、一体君たちは何をやっているんだ――という気もしますが(原作に登場したまともな断怪衆の坊さんもカットされたので、そもそも断怪衆が何を考えているかわからない)、たまがかつてそうであったように、人間と闇はわかり合えるものであるということを、闇に対する最強の戦力自身が示すというのは、やはりある意味本作を象徴しているといえるのでしょう。

 そして後半は今回のサブタイトルとなっている闇・ふこうが登場するエピソード。笑顔の絵文字のような顔に黒い軟体の体という異様な姿のふこうですが、その態度は友好的で、結界の村を、そして結界の中に入ってきたたまをも守ると語る、奇妙な存在であります。その彼(?)が村を守った結果はどうなったか――その皮肉すぎる結末も含めて、これも人間と闇の関わり方の一つではあるでしょう。
 そしてここでたまが、迅火の父・山戸源蔵との関わりを語ることでまた別の関わり方を、それと同時に人間と闇の決定的な違いを語るのも印象に残ります(Aパートで、たまが酒を教わったのは源蔵から、というオリジナル描写があるのも面白い)。

 その一方で、これまた今回初登場の四獣将・烈深は――今回のところは唐突に妙なのが出てきたな的な印象で、人間状態の迅火と互角なのもちょっと困ったところ。それでもここで烈深との初対決が描かれなかったら、ふこうのエピソード自体カットされていたような気もしますが……
(そして道錬と順番が入れ替わったのは、ここでバトルが入るからなのだろうな、と想像)

 何はともあれ、道錬も烈深も出番はこの後が本番。Cパートで辿り着いた火岩の故郷では、とんでもないサイズの長老が現れましたが、さて――このペースだと次回、あのシーンが描かれるかと思うと、今から胸がズンと重く……


『戦国妖狐 世直し姉弟編』上巻(フリュー Blu-rayソフト) Amazon


関連サイト
公式サイト

関連記事
『戦国妖狐』 第1話「我ら乱世を憂う者」
『戦国妖狐』 第2話「灼岩」
『戦国妖狐』 第3話「永禄七年」
『戦国妖狐』 第4話「迅火と人間」
『戦国妖狐』 第5話「氷岩」

|

« 『Ebenezer and the Invisible World』 クリスマス・キャロル後日譚!? スクルージ、メトロイドヴァニアに見参 | トップページ | 久正人『カムヤライド』第10巻 嵐の前の静けさ!? 新たなる敵の影 »