『戦国妖狐』 第8話「魔剣士」
旅の途中、闇が守る村を訪れた一行。しかしその闇が生贄を求めていることに反発して飛び出した真介は、闇を倒した烈深と出くわす。灼岩の仇である烈深を前に激高し、戦いを挑む真介だが、実力差は歴然で叩きのめされてしまう。そんな中、真介の精神に魔剣・荒吹が語りかけてくるが……
前話のあまりに衝撃的な結末(原作を読んだ時はあまりに衝撃的だったので、その後のこの辺りのエピソードのことがほとんど頭から抜け落ちかかっていました……)を受けて、物語やキャラクターの雰囲気も変わったような気がする本作。その中でも最も変わったのが真介であるのはいうまでもありません。
そして今回の前半は、その真介がメイン。別人のように据わった目と濃い隈で、ひと目でヤバい精神状態にあることがわかる真介ですが、さらにその状態で想像会話によって魔剣とブツブツやり取りしているのですから、なおさらヤバさは際立ちます。
そんな真介は村を守る代わりに生贄を取る闇・かごもりを斬りに行くのですが――それを止めようとするたまのロジック(この辺り、普段の理想論からいきなり闇側に傾いた感あり)に噛み付いたかと思えば、彼女の幻術を一喝で破ったりと、かなりの変わりようであります。とはいえ、精神状況がシビアになれば強くなれるのであれば苦労はないわけで、迅火たちを追ってきた烈深には手も足も出ず叩きのめされてしまうのですが――しかし流れ的にはこれこそ覚醒のチャンスであります。
はたしてダウンしたところに魔剣・荒吹の精神が現れ、「力が欲し(略)」と語りかけてくるのですが――ここであっさりとその言葉を受け入れたりしないのがまた本作らしいというか作者らしいところ。そもそも、剣の力を我が物にするために、剣の仮想人格と想像会話するというやり方自体が実に「らしい」。ここでの真介のパワーアップは、その独特のロジックに則って、何とも不思議な説得力があります。
といってもまだまだ烈深の方が技というか文字通り手数では上。あっさり逆転されたかと思いきや、ここでまさかの男の解除不可武装・巨武志が炸裂! 迅火ではなく真介の方が受け継いでいた(?)のは意外な気もする――というのはさておき、さらにかごもりの思わぬ追い打ちで烈深はダウン。無抵抗な相手に刃を向ける真介ですが――ここでとどめを刺すか(灼岩たちの幻が見えたとはいえ)一瞬ためらってしまうのは、まだ彼が彼である証拠なのでしょう。
そして思わぬ水入りが入り、それぞれ真の名を名乗り合って別れる真介と烈深。これは互いがそれぞれの立場や地位抜きでやり合うべき相手と認めたからでしょうか、悪因縁ではありますがこれも一つのライバル関係ではあるのでしょう。
と、前半だけでかなり濃密な回でしたが、後半は打って変わって(?)味方と名乗る美女・山の神が登場。たまが対神雲対策を立てはしたものの、実質無策に近かったところに文字通り救いの神が現れたわけですが――しかし彼女が語る前に、当の神雲たちが現れ、山の神が残した二人の巨大な天狗は、神雲の連れた少年・千夜の奇怪な「腕」によってあっさりと倒され――というところで次回に続きます。
にしてもたまよ、妖精眼のことを知らなかったのか――『散人左道』ファンであれば常識なのに!(無茶言うな)
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