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2024.03.22

『戦国妖狐』 第11話「断怪衆最強の男」

 神雲と千夜が封じられたこと、迅火の霊力がさらに高まったことを知り、闘志を燃やす道錬。迅火の傷もひとまず癒え、たまたちも断怪衆総本山に向かう決意を固める。正面から乗り込むことを選んだ一行の前に立ち塞がる、断怪衆最強の男・道錬と激突する迅火。一方、真介も烈深と対峙するが……

 いよいよ第一部も残すところ今回を入れて後三話。今回から決戦に突入であります。身も蓋もないことをいえば、バトルが中心になってくると書くことも少なくなるわけですが、その中でも印象に残るのは冒頭に描かれる迅火と真介の姿であります。

 妖精眼に目覚め、心に余裕が出たのか、屈託のない笑顔を見せる迅火。灼岩の死を引き摺り続け、今また迅火が片腕を失い(本人はあまり気にしていないのですが)、さらに背負った影が重くなる真介。物語冒頭の二人の姿とは、その雰囲気がほとんど逆転してしまったようにすら感じられます。
 しかしその一方で二人に共通するのは、それぞれを含めた周囲を「仲間」と認める意識――特に真介をそう認める迅火は、物語冒頭の姿を思えば、最も大きく成長したと感じます。(もっとも、たまへの態度を見ていると、成長というか増長というか……)

 そんな中である意味揺るがないのはたまで、闇たちが助太刀したがっているとりんずに言われて、これは私怨ではなく義による世直し
と言い切る姿は、良くも悪くも変わらないものがあります。正直なところ、彼女のいう世直しで誰か救われたか、というと疑問なのですが……

 何はともあれ、主人公側が盛り上がっていく一方で、断怪衆側も神雲が封印されたことで、むしろ逆に道錬の闘志に完全に火が付いた状態。新型の霊力改造人間・開天の十聖に絡まれたのをあっさりと返り討ちにして(というか、ポッと出のスペック上は高い量産型というのは、フラグ以外の何物でもないのですが)、ウォーミングアップも万全です。

 そして、本当に無駄にエロい精霊転化シーンでこちらも絶好調の迅火を迎え撃つ形で、ついに始まった頂上決戦。道錬は撲神(ぼくしん)の捨風(すてふう)を解禁(って、確かに戦国では異次元の動きですがそんなに効果あるのかしら……)すれば、迅火も山の神に左腕の跡に埋め込まれた種から腕を生やして大ハッスルであります。
 一方、その隙に襲いかかってきた烈深と、それを向かえうつ真介は、互いの本名を呼びかけあって、余人の窺い知れない雰囲気を醸し出します。

 そして道錬が無数の気塊から千尋拳を、いかにも最終形態的に巨大メカに埋め込まれた烈深が轟震海を――それぞれのおそらくは最終奥義を放ったところで、次回に続きます。


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