『明治撃剣 1874』 第玖話「夜天」
小山内殺害犯の牧野を捕らえたことで、平松の存在を知る静馬。一方、工場から逃れた一行を追ったせんりも、平松の陰謀の正体を知る。故郷へ帰る琴から託された刀を手にポリスに復職し、平松と守屋組を急襲する静馬だが、その最中に狂死郎もまた、平松を狙って現れ、乱戦が始まる……
最終回スペシャルということで一挙二話まとめての放送で録画できているか大いに焦った(大丈夫でした)本作、まずはラスト一話前からご紹介します。
前回、平松一味の秘密工場での大乱闘の果てに睨み合う静馬と狂死郎ですが、鴉こと牧野が逃走したのを取り押さえている間に狂死郎は姿を消して水入り。静馬は牧野が小山内殺しの真相を白状したのをきっかけに、最終回一話前にしてようやく平松の存在を知ることになります。
大久保暗殺犯である澄江を逃がしたことは何となく不問にされて、再び川路の誘いでポリスに復職した静馬。その腰にあるのは、己の想いを伏せて中澤琴が国(利根町出身だったんですね)に帰る時に託していった刀であります。
一方、前回秘密工場から大量の荷物を乗せて逃げた馬車に忍び込んだせんりは、ついに平松の陰謀の全容を掴み(たぶん本作一有能)、藤田にもそれを伝えます。折悪しく、本気で疑っていなかったらしい狂死郎たちにその現場を見つかってしまい、深手を負わされながらも逃走した藤田によって情報は川路にも伝わり、いよいよ風雲急を告げる事態となります。
前回描かれた、月が消えて木彫りの鯛が空から降ってくるという怪現象の正体――それは夜間に気球の飛行試験を行い、その際に気球から木彫りの鯉を落としていたというもの。気球の存在自体は簡単に予想できましたが、鯉を落としたのは飛行経路の確認のため、そして何故鯉かといえば、龍の刺青を入れた守屋組長が、鯉の滝登り→龍の連想で選んだというのは、さすがに思い至りませんでした。
何はともあれ、この平松一味の計画も決行寸前、平松はまだ松平容保を戴くために説得中ですが、決起の理由が、西洋の猿真似で功利主義の文明に冒された新政府を倒して再び武士の世を――という、一体お前は何時の時代の何処の人間だ、といいたくなるような時代錯誤な代物だったのには吃驚であります。
しかしもちろん大久保・川路たちがそれを座視しているはずもありません。守屋組を、そして平松たちの気球の発着場を急襲し、守屋組と大乱闘を繰り広げる静馬たち警官隊。これに長ドスで反抗する守屋組の皆さんも大概だと思いますが、そこに紛れてビリーがライフルを撃ってくるので警官の側も油断はできません。
そしてそこに狂死郎たちも駆けつけますが、狂死郎と幻丞はいいとして、ダリオは前回ビリーに撃たれた傷が悪化したために腕を切り落とし、片腕アーチャー状態。戦力の低下は否めないところですが、幻丞は一人残って幻覚線香攻撃で警官隊を足止めします。静馬も会津落城の地獄絵図を見せられるのですが――この光景は夢で何度も見てきた! と主人公らしい理由で静馬は幻覚を振り払い、幻丞に一撃! それでも幻丞は、どこにそんなの隠してたの、と言いたくなるような爆弾を出してきて自爆、最後の最後まで足止めをしてのけるのでした。(しかし如何にも曰くありげなキャラだったのに過去が語られなかったのは実に勿体無い……)
そして次々と気球が離陸する最中、その一つに飛び乗る狂死郎。その気球の向かう先は――なんと皇城! 俺なら皇城を空から攻めるねと、武士道にはうるさいがその辺のアレには疎そうな平松の暴挙であります。一方、密かに東京に呼ばれた西郷もあっさり暗殺され、大久保の仕業と喧伝することで新政府を揺るがそうという策まで展開、無茶苦茶なのか案外考えているのか、よくわからない平松が有頂天となっている中、最終回になだれ込みます。
ちなみにせんりの調査と平行して、パークスが本国の友人に月と鯉の一件の謎解きを求めていたのですが、この友人がもしかして――と思ったらやはりマイクロフト。パークスもディオゲネスクラブの一員だったという設定にはニッコリです。ちなみにマイクロフトの弟もチラリと登場しましたが、この時彼は二十歳、「グロリア・スコット号」を解決した頃で、まだ探偵ではない頃ですね。
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