『明治撃剣 1874』 第拾話「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」
皇城に向かう気球を追いかけて戦いを繰り広げる警官隊・修羅神・平松一味。澄江の助けもあり、皇城を守った静馬は松平容保と対面、蜂起を止めるよう訴える。一方、平松を追って洋上の黒船に乗り込んだ修羅神は、生きていた後藤の襲撃を受ける。そこに静馬も駆けつけ、最後の戦いが始まった……
いきなりサブタイトルが12倍に長くなった最終回、時間の方も長くなって実に29分数十秒、途中のCMもなしで、これは確かに一時間スペシャルでなければ放送できないわけです。
さて、物語の方は前回から続き、皇城を目指す気球に飛び乗った修羅神、そして静馬が一味を追う展開。宿敵同士となったダリオとビリーの決着が地味につけられた後、ダリオの攻撃で守屋組長の気球は不時着、組長を脅して平松の居所を聞き出した修羅神はさっさとそちらに向かいます。一方、静馬の方は、前回から急に青龍刀を持ち出した平松の側近・皆川と対決するもこれを一蹴。とどめを刺す間もなくこちらも皇城へ……
とはいえ、既に一味は皇城に到着、しかも近衛の一部も抱き込まれていたという信じられない事態。静馬も取り囲まれて大ピンチとなるのですが――それを目撃した澄江が思わず銃で静馬を援護し、その他の叛徒たちも、駆けつけた警官隊に鎮圧されるのでした。
しかし澄江も当然その一味、捕縛されるところを庇った静馬は藤田と対決。地味に同僚だと知らなかった静馬ですが、あくまでも刀は抜かずに、藤田をひっ捕まえて頭突き一閃! これまでの傷もあったとは思いますが、正義が女に負けるとは――と自嘲する藤田を置いて、澄江と共にその場から逃走します。
そして二人の向かった先は――てっきり平松のところかと思いきや、松平容保のもと。先日から平松の言葉にほとんど答えないのでスルーするつもりかと思いきや、結構乗り気だったらしい容保を、静馬は言葉を尽くして押し留めます。ついには「ならぬものはならぬのです」が飛び出し、容保もついに決起を諦めたその時、その場に現れたのは……
一方、佃島沖に停泊した黒船に単身乗り込んだ修羅神ですが、彼を待っていたのは何と後藤、それも何か凄い色の甲冑(たぶん元々は平松用)をまとった! 前々回、死んだシーンは描かれていなかった後藤は、修羅神憎しの念で暴走。組長を意味なく殺した上で、平松の元に現れたのです。そこで平松特製阿片を与えられて完全におかしくなった後藤に、流石の修羅神も苦戦を強いられます。
そんな修羅神を煽りに来た平松ですが、しかしそこに静馬が駆けつけたことで状況に変化が生じます。静馬に後藤を押しつけて平松を追う修羅神。静馬は後藤の頭にランプを落として火をつけた上に、盲滅法突っ込んでくるところを躱せば後藤は爆裂弾の中に突っ込んで大爆発! 黒船に火が回り始めます。
さて、怨敵・平松に斬りかかる修羅神ですが、意外にもというべきか、平松も強い! 修羅神が連戦で疲れているとはいえ、五角以上の腕前で応戦します。武士を捨てて極道になった男と、西洋に生まれて今なお武士の姿を取る男――平松のアナクロぶりへの修羅神の「勝手な憧れ拗らせやがって」とは言い得て妙ですが、しかし修羅神が一瞬の隙を突いて背中に一刀! そこに追いついた静馬の言葉で容保も蜂起しないことを知り、敗北を認めた平松は武士らしく切腹を望み、修羅神が介錯を――っと、そこで修羅神が斬ったのは首ではなく髷! 己が武士であることに何よりも誇りを持つ男にとっては、死にも勝る屈辱であることは間違いありません(史実では和服を着ても髷を結ってなかった平松に髷を結わせていたのはこのためであったか……)。
狂乱する平松を置いて甲板に出た二人。そして静馬は「修羅神狂死郎、お前を逮捕する!」と挑みかかるのですが――えっ、修羅神何か悪いことしたっけ(色々してます)とこちらが驚く間にも繰り広げられる二人の戦い。実力伯仲の二人ですが、修羅神は長ドスなので鍔がないので指を斬られそうで結構見ていて怖い。鍔って意外と大事――などと思わされつつも二人の戦いは続きます。その時、その場に現れたのは……
かくて戦いは終わり、せんり(相変わらず超有能)の働きで、「エルドラド」がかつて蝦夷地に作られ、今は新政府に受け入れられぬ人々のコロニーだったことが判明。どうやらポリスを続けているらしい静馬がそこを訪ねる場面で、物語は終わることになります。
正直なところ終盤に至っても(終盤ほど)絵的には苦しかった感はあり、色々と苦戦ぶりが伺われたものの、平松の正体をはじめとして、オッと思わされる題材が随所に盛り込まれていた本作。正直なところ放送開始までは完全にダークホースでしたが、かなり楽しめた作品でした。(ただ、最終回にほとんど全く同じパターンで重要キャラを二人も退場させたのはさすがにどうかと……)
ちなみに西郷暗殺の処理、まさかの大量の西郷の×××には愕然かつ仰天。このアイディアは今までなかったのではないでしょうか。脱帽です。
関連サイト
公式サイト
関連記事
『明治撃剣 1874』 第壱話「東京」
『明治撃剣 1874』 第弐話「渡世」
『明治撃剣 1874』 第参話「狩人」
『明治撃剣 1874』 第肆話「撃剱」
『明治撃剣 1874』 第伍話「死闘」
『明治撃剣 1874』 第陸話「襲撃」
『明治撃剣 1874』 第漆話「因縁」
『明治撃剣 1874』 第捌話「卍巴」
『明治撃剣 1874』 第玖話「夜天」
| 固定リンク