『鬼武者』 第参話「魘」
さよを先導に、金山の砦へ裏道を行く武蔵一行。あまりの難路に音を上げつつ、ようやく水場で一息入れる武蔵たちだが、さよは違和感を覚える。はたして、山道を作り替えていた敵の罠にはまり、一行は骸骨兵士たちの襲撃を受ける。何とか骸骨兵士たちを蹴散らした一行だが、その時思わぬ惨劇が……
アバンタイトルでは、前回落とされた吊り橋の向こう側で様子を窺う間者(藩の手の者?)を、谷のこちら側から槍を投げつけて殺害するという謎の三人組が登場。しかもその末弟と思しき男は、谷を往来する手段を持っているようですが――謎といいつつ、字幕を表示しているとキャラクター名が表示されるので、正体はすぐにわかってしまうのですがそれはまた後で……
一方、退路を絶たれた武蔵一行は、全ての元凶である伊右衛門が立て籠もっているであろう金山の砦に向け、さよの案内で裏道を行くのですが――道が険しすぎて五郎丸と平九郎、そして誰よりも武蔵がダウン。せ、戦闘力はあっても持久力がないだけだから――と勝手に心中で言い訳しながら見ていたら、ほとんど同じことを佐兵衛が言っていたのは可笑しかったですが、しかしいくら山歩きしているといってもあまりへばっていなかった佐兵衛はやはり怪しい、と見ているこちらは疑心暗鬼に囚われます。
それはさておき、水を補給しようと水場に移動したものの、どうも思っていた場所よりも上流に出たと首を捻るさよ。そんなことは気にしない武蔵たちですが、実はこれは山の木を抜いて道を作り替えるという、ゾンビ労働力を擁する連中ならではの大技による罠でありました。要するに死地に追い込まれたということで、早速ワラワラと骸骨兵士――といっても斬ったら血が出るので正確にはミイラっぽい感じ(ネットフリックスのサイトでサムネに出てくるやつ)ですが、前回登場したゾンビ相手で慣れたのか、鬼の篭手を使うまでもなく武蔵たちは敵を一蹴して……
と、一息ついて、決めた、佐兵衛と会ったら――と口にする五郎丸。アッ、この流れはいかん! と思っていたら、突然遥か遠くから飛んできた槍に串刺しにされる五郎丸。愛鷹の太郎丸ともども、あまりに呆気ない最期となりましたが、妙にキャラが立っていたし、今回はさよと色々と会話して、厭な予感がしていたとこだったので、やはり――という感じであります。
そして突然の惨劇に驚いている間に、忽然とその場に現れてさよを攫っていく覆面の男。いうまでもなく冒頭の三人組の仕業ですが、彼らはさよの身柄と引き換えに、武蔵が山の上の寺に来るように要求するのでした。
この男たちの名は、清十郎・伝七郎・亦七郎――武蔵に深い恨みを持つという彼らの正体は(クレジットによれば)吉岡三兄弟。彼らこそは、かつて武蔵によって次々と倒され、一門壊滅の憂き目にあった吉岡家の兄弟――なのかは現時点で判断できないのがちょっとややこしい。
そもそも語り継がれる武蔵の事績自体、どこまでが史実でどこまでがフィクションかかなりややこしいのですが、吉岡一門の生死にとってもまた同様。それ以前に、史実では吉岡家の兄弟は清十郎・伝七郎という名ではなく、亦七郎(又七郎)も末弟だったり伝七郎の子だったりと様々だったりするわけで、その辺りを踏まえると、本作の吉岡兄弟がどのような運命を辿ったのかは、ちょっとわからないのです。
そして仮に彼らがかつて武蔵に討たれていたとすれば、どうやって彼らは甦ったのか――というのは気が早いかもしれませんが、やはり気になるところであります。
そもそも、死んだ時期も場所もかなり離れているであろう人間を、甦らせることができるのか? というのが一番気になるところですが……
何はともあれ、さよを取り戻すために武蔵が出向かないわけにはいかない――と思いきや、僧侶でありながらガチガチのリアリストだった海全が無視しようと言い出して平九郎に殴られたりする混沌とした状況で、武蔵は突然雨の中で素振りを始めるという謎の行動(たぶんウォーミングアップとか精神集中とかの理由だとは思うのですが)を延々と続けて、今回は終わります。
関連記事
『鬼武者』 第壱話「魔」
『鬼武者』 第弐話「魑」
| 固定リンク