『君とゆきて咲く~新選組青春録~』 第5話「振り向いてほしい、君に」
ついに会津藩の謁見が決まり、芹沢の発案により剣舞を披露することになった壬生浪士組。芹沢の指導で稽古に励む隊士たちだが、丘十郎は二人一組の練習で大作の動きに合わせられず、失敗してしまう。皆の足を引っ張っていると落ち込んだ丘十郎は、何とか上達しようとするが……
いよいよもって原作漫画とは? という展開になってきましたが、今回(とおそらく次回)は、「剣舞」を巡るエピソード。色々あって会津藩に謁見できることとなり、その場で剣舞を披露することになった壬生浪士組ですが――剣舞ってやっぱりOPで毎回やってるあれでしょうか。
さて、この剣舞の発案者は、意外にもというかやはりというか芹沢鴨。会津藩の前で試合などを見せるのではなく、わざわざ剣舞を見せるのは何故か――それはまだわかりませんが、本作の芹沢は、滅茶苦茶を言っているようで、後になってみればそれは実はきちんとした考えに裏打ちされていた、というキャラのようなので、期待してよさそうです。
しかし新選組ものって、若い衆がワチャワチャやっているせいか、何となく学園もの(部活もの)的イメージがある――と思っていた方はおそらく多いと思うのですが、本作は特にその印象が強く、丘十郎や大作たちが一年生、沖田や原田・斎藤が二年生、近藤・土方・山南が三年生、そして芹沢はコワいOBという感じがあります。
その芹沢は、特に次の代のキャプテンである近藤に期待しているということか、近藤(たち)に羽織を用意していることが語られるのですが――OPを見るにこれが本作の新選組のだんだら羽織ということなのでしょう。しかし近藤、滅茶苦茶派手な金色の袴を履いているのに、羽織が派手と二の足を踏むのはどうなのか……
何はともあれ今回のメインは、一年生たちの特訓シーンとなるわけですが、予想通りに足を引っ張るのは丘十郎と新之丞。最も新之丞の方は、南無之介の異常な献身と、大作の適切なアドバイス、そして新之丞本人の才能(まあ、中の人は歌って踊れるので……)で足手まといを早々に脱出する一方で、丘十郎は最下位まっしぐら――芹沢からは勢いばかりの「イノシシ」呼ばわりで、今度ミスったらそのまま血祭りに上げられそうな感じであります。
しかしそんな芹沢を恐れるよりも、むしろ自分が皆の足を引っ張っていると悩むのが丘十郎らしいところですが、たぶん一番の不満は、大作が自分には振り向いてくれない――真面目にアドバイスしてくれないこと。その代わりに原田・斎藤にアドバイスを求めに行くのですが――まあこの二人の答えはあまりにも予想通りで役に立ちません。そして沖田との会話では、思い余って大作がもう死んでもいいとか言ってました、とか話してしまったおかげで、ただでさえ散文的な沖田の話が、さらに脇道に逸れた感が……
その一方で、前回から壬生浪士組が会津藩と謁見すると聞いて異常にエキサイトしている丘十郎の仇兼長州藩士の庄内は、何やら企みを巡らして――と、次回は荒れ模様のクライマックスになりそうであります。
(ちなみに前回のラスト、壬生浪士組一人ひとりの似顔絵をアジトに貼っている庄内はちょっとコワい、というかキモい)
そんなわけで今回はあっさり目のエピソードでしたが、その中で存在感を発揮したのが意外にも山南です。遅くまで食事している一年生たちの元に現れてネチネチ説教した山南に対し、大作は後ろから箸を投げつけるのですが――山南はこれを軽々と回避。心なしかいつもとは別人のような冷たい口調で言葉を残して去るその姿には、思わぬ強キャラ感があります。
また、芹沢が夜遊びから帰ってきた時にも、全く臆せず正面から説教する山南。芹沢からはウザがられつつもそれ以上の反発はなく、さらに山南が何故剣舞なのかと尋ねると、芹沢も彼流の韜晦を交えながら答えて――と、かなり対等に近い雰囲気を感じさせます。
いや、色々な新選組ものでは大抵いい人とか常識人枠の山南ですが、たぶん彼も強いはず。そうでなけば、土方・沖田・原田と一緒に(一説です)――と、危なく未来をバラしかけましたが、この先の出番が楽しみになってきたのは間違いありません。
しかし会津藩の前で、OPではなくEDの方を踊ったら大変なことになりますね……
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