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2024.06.11

『鬼滅の刃』柱稽古編 第五話「鬼を喰ってまで」

 恋柱の地獄の柔軟をクリアし、蛇柱の太刀筋矯正に向かった炭治郎。何故か異常に敵意を燃やし、厳しい訓練を課す蛇柱だが、炭治郎は何とかクリアし、風柱の元に向かう。風柱との打ち込み稽古で初日からボコボコにされる炭治郎だが、不死川兄弟の会話を聞いてしまい……

 原作3ページを2話という恐ろしいペースで展開してきた柱稽古編ですが、今回は原作の2話弱をアニメ化という、今までのペースに戻っての展開。このまま一柱1話になるのかと思いましたが、今回は一気に三柱描かれることになります。
(まあ、野郎レオタード責めを延々描かれたり、障害物として縛られた平隊士たちが「柱ァ! 俺たちも頑張ります!」と号泣しても困るのですが)

 さて、恋柱のところでは地獄の柔軟のはずが、何故か恋柱がエプロン姿でホットケーキをあーんしてくるという、これはこれで(蛇柱に知られたら)大変なオリジナル展開がありましたが、基本的にここはギャグ扱いですぐ終わり。というか、蛇柱のところの前振り感すらあります。
 その蛇柱はといえば、わざわざ炭治郎を出迎えて、さらに特別待遇で対応するのですが――それだけ見れば恋柱と同じに見えるものの、こちらの特別待遇は、そこら中に縦横縛り付けた隊士たちの細い隙間から刀を振らせるという、どう考えても人質を取った悪役みたいな所業であります(石川賢の漫画版バレンドスか!)。もっともこれが炭治郎のみの特別待遇と語られたわけではありませんが、以前の稽古では平隊士と普通に打ち合っていたことから考えるに、やはり(私怨混じりの)特別訓練なのでしょう。

 ここでいきなり蛇柱相手の勝負ではなく、「障害物」の間の的を狙う訓練というアニメオリジナルのシーンもありましたが、当然メインは蛇柱相手の対人戦。そしてオリジナルといえば、何故か訓練後にみんなで風呂に入るシーンもありましたが――もう一つのオリジナルシーンで、野外などで障害物が多いところで戦うことを想定したものであったことが描かれたのは、なるほど、と納得です。お風呂も普通に疲れを癒すためのものだったみたいですし(絶対唐辛子風呂とかだと思っていた……)、やだ、伊黒さん、意外と良いひと――?

 と、思わぬところで蛇柱の株が上がった(考えすぎです)一方で、やっぱり狂人としか思えないのは風柱。無限打ち込み稽古が異常に厳しいのはともかく、玄弥の今回のサブタイトルとなった台詞、「鬼を喰ってまで」を聞いた途端に、瞬時に両眼を潰しにいったのは流石に引きます。
 なぜ風柱があれだけ弟に冷たいか、彼の真情についてはこの(だいぶ)先でわかりますが、それを知っていてもやり過ぎ感が漂います(さすがに直前で止める気だったのかな、とも思いますが)。もちろん、彼にとって鬼が何を意味するかを思えば、激昂するのも当然ですし、よく聞いてみると当たり前のことを言っているのですが……

 しかしもちろん、その辺りの機微が玄弥や炭治郎にわかるはずもなく、その後はとばっちりで善逸たちを巻き込んでメタメタになっていく感じが(申し訳ないことに)非常に楽しいのですが――件の目潰し未遂で玄弥が顔を切られて流れる血があたかも涙のように見えるのと、「玄弥がいなきゃ上弦に勝てなかった」という言葉に玄弥の表情が(炭治郎……トゥンクと)動くのは、描写として良かったと思います。
 何はともあれ、結果として「接近禁止」というストーカー並みの扱いもなんですが、「風柱との修行は中断」というのも何気にヒドすぎる。善逸も一緒に次に向かったことを思うと、単純に炭治郎のみ中断ではなく本当に風柱の修行は全部中止になったのだと思いますが、鬼殺隊の計画管理や人事の皆さん(たぶんいない)の苦労が偲ばれます。
 そして次回は岩柱――これは順当にエピソードを消化するのでしょう。


 しかし今回の大正コソコソ噂話は無難すぎる内容でちょっと寂しいものがありました。
「それでは大正コソコソ噂話――伊黒さんが甘露寺さんのことを話す時、とっても優しい匂いがするんだよ。なんでだろうね?」
「貴様……」
くらいやってくれてもよかったですのに。


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