『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』 第二十六話「明治東海道中」
留守中の神谷道場を訪れた恵の前に現れ、剣心の行方を尋ねる四乃森蒼紫。そこに現れた斎藤から志々雄のことを知った蒼紫は、瀬田宗次郎から接触を受け、京都に向かう。一方、小田原を越えた剣心は、破落戸相手に追い剥ぎを働く少女・操と出会い、金を返させようとするが……
前半は蒼紫の再登場、後半は剣心と操との出会いと、わかりやすく分かれてはいるものの、ちょっと今回のアニメ版の冒頭並みにスローペースかな、という印象。しかも前半は思わぬキャラの活躍が追加されて驚かされます。
というわけでその前半は、前回とても凛々しかった恵が、留守道場の管理を任されて愚痴を言いながら顔を出したら蒼紫と遭遇して膝を落とす、という損な役回り(前回も書いたような気がしますが、ここはエピソードを分けて正解だったと思います)。そして、なんか荒んでる頃の蝶野攻爵みたいな目になった蒼紫の魔手が恵に迫った時、そこに現れた斎藤が――と、今回も素晴らしい斎藤の裏方(?)ぶりに感心させられます。
恵を救いつつ、蒼紫に志々雄の情報を教え、戦力として利用しようとする――という彼の行動は、正直後者については余計な犠牲者を増やしただけのような気もしますが、その直後に描かれているように、元々志々雄一派にも目をつけられていたので、結果は同じだったかもしれません。
というわけで、こちらでは「誰だお前は!?」などとは言わず、強者として蒼紫に興味を示す志々雄ですが、ここで宗次郎が悪巧みして、かませ犬として阿武隈四入道をけしかけられることになります。可哀想に、おそらくは大した情報を与えられていなかったと思われる四入道は、よりによって御庭番衆の墓で弁当を広げたり唾を吐いたりと、蒼紫の逆鱗に触れる行動を取りまくった結果、瞬殺――されない。
あれ、この蒼紫、攻撃しないで意外と避けに回ってるな? と思っていたら、四入道も調子に乗って技を繰り出し――こ、これは幻の瞬速四身一体!? 原作ではコンパチだった四人の得物もそれぞれ別のものになっていますし、結構な優遇ぶりです。さらに、初めは攻撃せず躱すことで、相手の得意技を引き出す蒼紫の懐の深さも印象に残ります。……いや、誰が喜ぶのか結構謎のアレンジですが、これは人誅編の、あの禿頭四人組も期待できそうではありませんか!(喜んでる――というか、そんな先の予定は決まってません。たぶん)
一方の剣心と操の出会いの方は、これも何もそこまで、と言いたくなるくらい原作通りだったのですが(もう少し破落戸ややくざの出番は減らしてもいいのでは)、改めて見ると操は滅茶苦茶90年代っぽい造形なのに感心します。
いやそれは置いておくとしても、薫とも恵とも全く違うキャラになっているのはさすがで、この二人が何だかんだでおとなしめなのに対して、初登場から動きまくり剣心に噛みつきまくる操のキャラクターは実に楽しく感じられます。
この辺りは、京都編(というか道中編)だからこそのキャラクターなのはなんとなく理解できますが、操がもっと作中に早く出てきていたらその後の物語の歴史が変わったのでは……(大げさです)
ちなみに初出時には一部で物議を醸した操の外套ですが、今回はうまくアレンジしているのか、あまりアレっぽく見えなかったのはちょっと面白いと思いました。
そしてラストにやれやれ主人公ぶりを発揮した剣心ですが、いくら幕末で経験値を積んでいたとしても、あの橋の壊し方はやっぱり無茶だと思います。
というか、あれが当たり前だとしたら、やっぱり幕末の京都は修羅の国……
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