『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』 第二十五話「京都へ」
斎藤と別行動をとり、一人東海道を急ぐ剣心。その頃東京では、剣心を追おうとする左之助の前に斎藤が現れ、お前たちは剣心の弱みだと指摘、怒った左之助は斎藤に殴りかかる。一方、剣心に別れを告げられて以来気力を失った薫のもとには恵が現れ、厳しい言葉をかけるが……
というわけで、いよいよ始まった新アニメ版『るろうに剣心』、「京都動乱」というシリーズタイトルがついていますが、オープニングはまだ剣心と仲間たちの京都への道中を感じさせます。しかし、恵って京都行ったっけ……(行ってないこともない)
さてその初回となる今回は、原作三話分プラスαを順調に消化。そのα部分は冒頭の剣心と斎藤のやり取りで、原作では次回に当たる回で描かれましたが、時系列的には順当ですし、ここで出さないと今回主人公が出ないので、まず納得のアレンジです。
そしてそれ以外の部分は、問題の月岡津南の炸裂弾が明らかに巨大化している点――というよりよりリアルな形になっている点を除けば、まあほぼほぼ原作通りということで、原作との違い中心に見ている人間は困ってしまうのですが、改めて見てみると、キャラクターの立ち位置というのがわかって、なかなか面白いものです。
たとえば斎藤は、前シリーズのラストからひたすら小姑のようにネチネチツッコミをいれるキャラのように感じられますが、前シリーズでは現在の剣心の実力のチェック役、さらに今回は剣心に京都までの移動手段を伝えにきたり、足手まといの左之助が京都に来るのを止めようとしたり(結果として実力チェック役にもなりましたが)――なんというか、自分一人ではなく全体を考えて動いていることがわかり、興味深い。
もちろん彼の場合は、組織人として上がいるわけですし、自分の動きやすさを優先に考えているのも間違いありませんが、しかしやはり新選組で隊長を張っていた人間は、チームとして人を動かす視点があるのだな、と感心させられます。その点、初め人斬り後に遊撃剣士として動き回っていた剣心や、赤報隊を抜けてからは一匹狼を気取っていた左之助とは全く違うわけで――というか、人斬りなのにあれだけカリスマがある志々雄は何なんでしょう。
それはさておき、その左之助や薫が動く決意を固める時に居合わせるのが弥彦というのも面白いところで、彼の存在はある種の目撃者であると同時に、他のキャラクターを引っ張り、動かす役割でもあるのだな、と感じさせられます。もっとも弥彦の場合、未熟な割に自分も動くので、物語のノイズに見えかねないのが難点ですが……
(その辺りがはっきりと噛み合ったのはこの先の人誅編であるわけで)
さて、今回の中盤の山場が左之助vs斎藤のステゴロだとすれば、終盤の山場は薫と恵の心のぶつかり合い――というか、薫が左之助以上に一方的にボコボコにされていた気がしますが、これは一から十まで恵が言うことが真っ当すぎるので、もう仕方ないといえば仕方ない。二人の歩んできた人生というか、二人の立ち位置の違いが生んだ結果なので、どちらが正しく、どちらが間違っているということもないのでしょう。
(昔だったら恵の方に感情移入したような気がしますが、今は薫も素直に頑張れと思えるのは、これは見ているこちらが老けたからの気もします)
そしてEDでは、その薫を差し置いて、謎の新キャラ(現時点では)がほとんどヒロイン状態なのも、なかなか趣があるものです。
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