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2024.10.15

『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀4』 第2話「魔界の宴」

 阿爾貝慮法からけしかけられた魔獣悍狡と戦ううちに、己の中の魔族の血に目覚める浪巫謠。一方、丹翡たちは魔界に抗するため、最後の神誨魔械を探す決意を固める。そしてその頃魔界に乗り込んだ覇王玉と花無蹤の前に、魔界第四位の貴族・安索亞特が現れる。彼が二人に持ちかけたのは……

 (TV放送での)ラストシーズンだからか、かなり展開が早いのが気持ち良いこの第四期。今回も複雑に入り乱れる諸勢力の動きが並行して描かれ、刻一刻変わっていく状況の変化が楽しめました。

 そんな中で何といっても最も大きく動いたのは浪巫謠でしょう。前回のラスト、魔界の貴族の城に出入りするためには――と、魔獣悍狡討伐を父から命じられた浪巫謠ですが、ポケモンめいた外見のわりに悍狡は内功まで使いこなすかなりの強敵。聆牙も刃が立たぬ相手に散々苦戦を強いられる浪巫謠ですが――その中で彼はついに魔族の血に覚醒、聆牙を突き立てただけでは終わらず、日頃の優雅さが嘘のように、弱った相手を素手で乱打し殴り殺す残虐ファイトを繰り広げます。
 その様に、人間界に放って置いて辛い目に遭わせた甲斐があったと声を裏返らせて喜ぶ阿爾貝慮法と、ドン引きする刑亥(しかし刑亥、明らかに今回の面子の中では格下過ぎて今後の立ち位置が心配です)。そして我に返り、己の所業に驚く浪巫謠の頭には、魔族の証である角が……

 一方、鬼奪天功の術法で、結構簡単に魔界へと乗り込んだ覇王玉と花無蹤は、魔界の者たちが悍狡を狩ろうとして返り討ちに遭う姿を目撃、勝手に血をたぎらせた覇王玉は悍狡に襲いかかります。しかし浪巫謠があれだけ苦戦したのに、と思いきや、彼女たちの手には神誨魔械――前回、禍世螟蝗から与えられた、相性を問わず使えるように細工されたもの(萬軍破は真面目に怒っていいと思う)――があります。その力で覇王玉は正面から悍狡を粉砕、花無蹤も姿を消してからの鎖縛りで相手の動きを止め、念白付きでトドメを指します。いや、あれだけ浪巫謠が苦戦して、悲壮な勝利を遂げた後にこれはちょっと――とは強く思いますが、やはりこれは神誨魔械の威力に驚くべきなのでしょう。

 そして何はともあれ、悍狡を仕留めた二人に、声をかける者がいます。下半身が蜘蛛のような異形の姿のその人物(?)は、安索亞特――魔界第四位の貴族。彼は二人の強さを称え、食事に誘います。見るからにヤバそうな料理(もしかして素材は悍狡?)が並ぶ卓で、遠慮なく覇王玉が飲み食いする一方で、安索亞特から魔界の状況を聞かされる花無蹤。
 実は今の魔界は、魔王によって貴族同士の私闘が禁じられており、力関係も曖昧になっているとのこと。そこに現れた他所者を彼がもてなすということは――そう、二人を使って敵を除こうという思惑にほかなりません。そしてその敵とは、何と阿爾貝慮法! 蜘蛛同士が密議を交わすその様こそは、卓上の様子のおぞましさ以上に、まさに「魔界の宴」と呼ぶべきでしょう。

 と、魔界の側が早くも動き出した一方で、東離では丹翡が皇帝ならぬ皇弟・晏熙に謁見し、窮暮之戰の再来に備えて戦力状況を奏上しますが――全く危機感のない晏熙は真面目に取らず、貴族の子弟で見目麗しいのを集めて兵として使えば良いと、宋の禁軍のようなことを言い出す始末。これは頼りにならんと、丹翡、捲殘雲、そして確か第二期に出てサソリ娘に振り回されてた老人は、新たな神誨魔械を探すことを考えます。鬼歿之地に眠るという、最後の神誨魔械――それを探すべき者は、当然一人しかいないのですが……

 そして前回あれこれ言っておきながら、何だかんだでその一人につきまとっている凜雪鴉は、なんと第三期から引き続いて異飄渺に化け、いけしゃあしゃあと禍世螟蝗に対面。本当に気付かれていないのであれば色々な意味でスゴいのですが、凜雪鴉に変装して潜入している名目で、まだまだつきまとうことになるようです。そう、今回本当に、おそらくシリーズ初で全く出番のなかった男、殤不患に。

 そして西幽では、あの嘲風に、睦天命と天工詭匠の居場所が知れてしまい――と、次から次へと動いていく事態。特に魔界では想像以上に早く阿爾貝慮法側と神蝗盟側が接触することになりそうですが、しかし阿爾貝慮法の下には、覚醒した浪巫謠がいます。どう考えてもただでは済むはずがありませんが――さて。


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