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2024.10.26

『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』 第二十七話「見捨てられた村」/第二十八話「野心家の肖像」

 一時は撒こうとしたものの、結局操を連れて京都に向かうことになった剣心。しかしその途中、二人は新月村から逃げてきた少年・栄次と出会う。志々雄一派に支配され、地獄と化した村の有様に憤る剣心は、村に滞在していた志々雄と対峙。その前に村を支配していた志々雄の配下・尖角が立ち塞がるが……

 今回は二十七話と二十八話をまとめて紹介。愁嘆場から始まった京都編ですが、操が登場して一気に雰囲気は明るく(というかドタバタに)――と思いきや、京都編、というか『るろうに剣心』全体でも相当に重いエピソードである新月村編が始まります。

 操が単なるアレな子ではなく、御庭番衆の縁の者であること、そして蒼紫を一心に想っていることを知って、京都に帰るという彼女と行動を共にすることになった剣心(まさかその頃、蒼紫も京都に向かっているとは知らず……)。しかしその矢先に見つけたのは死を目前とした青年、その青年が最後まで守っていたのは弟の栄次で――と、いきなりシリアスな始まりです。

 彼らが逃げてきたのは志々雄一派によって占領・支配された村だったという展開は、さすがに豪快すぎやしないかとも思いますが、後からやって来た斎藤が語る、何故軍隊を派遣できないのか(そして剣心や斎藤といった個人が動かないといけないのか)、という理屈はなかなか面白い。自分が暗殺されかねないので政治家も動かないという流れも納得です。(その辺の人間、下手すると昔は自分が暗殺する側だったしな……)
 そんな中で厭に印象に残るのは、志々雄一派に支配された末に、反抗の気力を失い、それどころか救いに来た剣心たちに反発し、罵声を浴びせる村人たちの姿でしょう。作品が少年漫画の王道を行くようでいて、何気に厭な人間心理が描かれることも多い作者ですが、この頃から既に描かれていたのか――と、妙なところで感心します。

 そして剣心・斎藤と志々雄の対面という重要な場面が描かれるわけですが、直後にその場を(この回のシリアスさを)全て持っていくのは尖角の存在です。いや、この尖角、原作読者にとっては登場シーンで既にインパクト十分――何しろ、原作と異なり、なんか兜被ってるのですから(ついでに手甲もつけてる)。尖角といえば、あの常人とは思えないほど尖った頭ですが、一歩間違えればギャグのようなビジュアルが、尖った兜を被っていることにより、緩和されたような気がしないでもありません。といいたいところですが、あの全身ボディースーツは健在なので、ボディースーツに兜と手甲はつけている変な人になっているのがまた……
 しかし驚かされるのはそれだけでなく、突然「尖角流」などという流派(まず間違いなく自称)を名乗り、原作では手下が語っていた刻み打ち(百烈ナントカ)の名を自ら披露、さらに、幻に終わっていた串刺し頭突きこと人間弩弓(ナントカ頭突き)そしてその超必殺技版まで!

 と、タチの悪いファンとしては、原作では幻に終わった尖角の必殺技が登場するのにテンションが上がった――と言いたいのですが、さすがにそこを頑張らなくてもいいのではないかな、と真顔になってしまった、というのが正直なところではあります。
 そこはいいから、もう少しお話のペースを上げて――と、今回のアニメ化の冒頭から思っていたことを、改めて思ってしまうのでした。
(確かに雷十太のエピソードや第零幕の補完は良かったですが……)


 にしても、尖角の兜が外れてみたら、中から出てきたのは原作通りのトンガリ頭だった、というのには、もうどんな顔をすればいいのか……


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