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2024.10.21

『青のミブロ』 第1話「壬生浪と少年」

 文久三年、年端のいかぬ子供たちが攫われるなど世情騒然とした京。その片隅のの団子屋を訪れた壬生浪士組の土方と沖田は、そこで働く利発な少年・におに目を留める。数日後、家に帰る途中のにおと妹を賊が襲撃するが、待ち構えていた土方と沖田に蹴散らされる。翌日、におを浪士組に誘う土方だが……

 原作漫画の方は第二部の「新選組編」に突入し、単行本は現時点で合計十五巻を数える『青のミブロ』のアニメがスタートしました。しかも深夜枠ではなく、土曜の夕方五時半、そして連続二クール放送という、当世では恵まれた枠です。

 さてその第一話は、原作の第一話をほぼ忠実に映像化した内容となっています。団子屋で働くにおと血の繋がらない妹と祖母、そこに現れた土方と沖田の颯爽たる男振りと、それとは裏腹の「ミブロ」の悪評。荒れる京都を象徴するような、子供を狙う人攫いの賊との戦いの中で描かれる、土方と沖田のキャラクターと、におの観察眼。そして土方からのミブロへの誘いと、それに対する答えともいえるにおの叫び……
 細かいセリフや描写の省略はありますが、ほぼ内容は原作に忠実な(その分、プラスもほとんどない)内容です。

 このような(最近では当然の)アニメ化のスタイルは、原作既読者がここで何かを語ろうとするとちょっと困ってしまうのですが、とりあえずキャストにしてはイメージ通りという印象で、特に土方・沖田は、彼らの一種のパブリックイメージに忠実と感じます。
 また、今回のクライマックスである土方と沖田を前にしてのにおの叫びも、正直なところ原作では唐突感とちょっぴり気恥ずかしさがあったのですが、声がついてみるとそういった印象はだいぶ緩和されているのは、さすがと言うべきでしょう。

 その一方で、作画的にはシャープさに欠ける印象が強くありました。これは特に原作のメリハリの効いた絵柄に比べてしまうと、特にそう感じるのかもしれませんが、今後への不安点といえます。
 特に今回はアクションシーンが少なめだから良かったものの、今後本格的にアクションが描かれる場合にどうなるか(もちろん逆にアクションシーンは良くなる可能性も、ないわけではないですが)、気になるところです。
(制作元がファンタジー主体で、時代ものが初めてなのは、これはまあ今日日仕方ないとして……)

 ちなみに今回、ミブロの大半はOPEDとイメージシーンのみの登場だったわけですが、太郎とはじめは、それぞれちょっとマイルドな感じになっているのは面白く感じられるところで、実際の登場を楽しみにしたいと思います。


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