「コミック乱ツインズ」2024年12月号(その一)
今月の「コミック乱ツインズ」は表紙が二ヶ月連続の『鬼役』、巻頭カラーは『ビジャの女王』となります。レギュラー陣の他、シリーズ連載は『よりそうゴハン』『古怪蒐むる人』が掲載されています。今回も印象に残った作品を一つずつご紹介します。
『ビジャの女王』(森秀樹)
オッド姫が地下の娼館街に隠れたものの、ジファルの手引きでそこに乱入したモンゴル兵たち。その一人でありジファルと繋がるドルジの槍がオッド姫に襲ったところで続いた今回、別の意味で襲いかかろうとしたドルジの魔手から姫を救ったのは何と――と、意外なキャラが活躍しながらも、惜しくもここで退場することになります。
ブブの怒りは大爆発、ドルジを文字通り粉砕し、娼館街の女主人たちによってモンゴル兵も片付けられ、新たな味方も加わって――とこの場は一件落着ですが、喪われた命は帰りません。ここで墨者の弔い(懐かしい)をするブブの姿が印象に残ります。
しかし最大の危機は去ったかに見えたものの、天には不吉な赤い月が。そしてブブとオッド姫が目の当たりにした異変とは――まだまだ戦いは続きます。
『不便ですてきな江戸の町』(はしもとみつお&永井義男)
いよいよ本作も今回で最終回。色々あった末にすっかりと江戸時代に馴染んだ島辺と会沢、特に島辺はこの時代で出会ったおようと愛し合うようになって――と、いつまでも続きそうだった日常は、ある日起きた火事で一変することになります。
長屋の人々も避難したものの、かつて島辺に贈られた思い出のかんざしを探して火に巻かれるおよう。おようを追ってきた島辺は、彼女を連れてタイムトンネルのある祠まで逃げるのですが……
というわけで、不便ですてきなどとは言っていられない、江戸のおっかない面が描かれることになった最終回。もう火事から逃げるには未来(現代)に行くしかありませんが、しかし島辺はともかく、おようは――本当にこれで良かったのかしら!? という豪快なオチではありますが(大変さは島辺たちの比じゃないと思います)が、これはこれで大団円なのでしょう。
『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』(重野なおき)
最近、宇喜多さんの快進撃が続いていましたが、そういえば主君の浦上宗景は――と思っていたらタイトルが「忘れちゃいけないこの男」で吹き出した今回。しかし宗景がパリピのフリしてかなり陰湿なのは今まで描かれてきた通りで、いよいよ直家追い落としにかかることになります。
家臣の明石行雄を直家のもとに送り込み、色々と探らせる宗景ですが――この後の歴史を考えると、これが結構逆効果だったのでは、という気がしないでもありません。しかしここで毛利と敵対する尼子に接近していることが明らかになってしまったのは、直家にとってはプラスにはならないでしょう。
しかしこう言ってはなんですが、ローカルだった話が一気に表舞台の歴史と繋がった感があり(あの有名武将も登場!)、いよいよここからが本番、という気もいたします。
残りの作品は次回にご紹介いたします。
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